こうして私はあなたを好きになった
綴りたいのは残された言葉、なつかしい匂い、
揺れる気持ち、忘れられない感触

2009年09月27日(日) 飲み過ぎた夜に


 私達はカウンターに座って、

 大将が目の前で揚げてくれる天麩羅を頂きました。

 二人で食べたネタは海老、たらば蟹、きす、穴子、帆立、烏賊、春菊、

 南瓜、蓮根、椎茸、薩摩芋、玉葱、グリーンアスパラと数えてみたら

 十種以上でした。

 サクッとした薄い衣と新鮮なネタの揚げたての天麩羅は

 どれもがとても上品な味で、最後まで美味しく頂きました。 

 私は女将さんに薦められるままに

 空きっ腹に白ワインを三杯も飲んだので、

 後半はかなり酔っ払ってしまいました。

 お店を出る時に足元がふらついて転びそうになりました。

 彼は後でワインバーへ行こうかと言っていたのだけれど、

 私があまりにも酔っていたのでそのままホテルに戻りました。




 深夜にホテルで目覚めた時、私は彼の腕の中でした。

 枕元には藍色のキャミとショーツがありました。


 「もう帰らなきゃ。」


 私が独り言のように呟きました。

 翌朝彼はゴルフのために早起きしなければなりませんでした。

 彼は携帯電話を手に取り、スケジュールを開きました。


 「再来週はいつがいいんだっけ?」


 私は以前彼に告げていた日にちを言いました。


 「その日は駄目だな…。仕事が入ってる。」


 「そうなんですか?

  何も予定が無いって言ってたのに…。」


 「後から仕事が入ったんだ。他の曜日は?」


 「その週は私はその日しか駄目なんです…。

  でも2週間も会えないなんて絶対無理!!」


 ちょっと大袈裟に駄々をこねて言うと、彼が笑いました。


 「前はこんなに会ってなかったし、こんなに食べてもいなかったって

  言ってたのに可笑しいだろう。(笑)」


 私の前の恋愛を持ち出して彼が言いました。


 「あの時はあの時、今は今です。

  Tさんは我慢出来るんですか?^^」


 「仕方ないだろう。仕事なんだから。

  それにその翌週は旅行でずっと一緒にいられるだろう?」


 彼は私の我侭に呆れながらも、

 連休の真ん中の日曜日を私のために空けてくれました。




 シャワーを浴びようとベッドから下りると、

 鏡の前の椅子の上にスカートがかけられていることに気付きました。


 「これ、私が掛けたんですか?」


 「俺が掛けたんだよ。理沙子が酔っ払っていたから。

  何も覚えてないのか?」


 「何もって?」


 「セックスしたこと、覚えてないのか?」


 「気持ち良かったです。^^」


 「嘘付け。覚えてないくせに。(笑)」


 「気持ち良かったことは覚えてるんですけど、

  どんな風にしたのかは覚えてないの。(笑)」




↑エンピツ投票ボタン
 ベッドに入る前にシャワーを浴びてキャミとショーツを着けたのは

 間違いなく自分なのに、その前後の記憶がありませんでした。


 「私、おかしなこととかしてないですよね?」


 「凄くいやらしかったよ。(笑)」


 「人としてあるまじき行為とかしてたらどうしよう。(笑)」




 帰りの車の中で、


 「もう当分天麩羅は食べなくていいな。」


 と彼が言いました。


 「あっさりして美味しかったから、私はまた行きたいですけど。

  でもあんなに酔っ払ってたから、もう恥ずかしくて行けないかな。」


 「ピッチが速かったもんな。空きっ腹に飲み過ぎるからだよ。

  きすが出てきたら、どこにキスするとか何とか言い出すし…。^^」


 「えっ、私、恥ずかしいこと言ってましたか?^^;

  どうしよう…大将に聞かれちゃったかな。」


 「俺しか聞いてなかったから大丈夫だよ。^^」


 「もう飲み過ぎないようにしなきゃ。

  あるまじき行為に走らないように。(笑)」


 「今日の理沙子はあるまじき体位で、あるまじき奇声を発し、

  あるまじき快楽に耽っていました。(笑)」


 

 車を降りる時、彼は私の唇におやすみのキスをくれました。

 彼はいつもと変わらず優しかったけれど、

 酔っ払いの私に呆れてしまったのではないかと少し心配でした。

 天麩羅屋さんの後にワインバーに行けなかったことも

 愛し合った記憶が消えてしまったことも

 彼に悪かったなと心がチクリと痛みました。


 < 過去  INDEX  未来 >


理沙子

My追加