中華料理のレストランで、
彼は紹興酒、私はシャンパンで食事を頂きながら、
少しシリアスな話をしました。
「ある企業の採用試験の最終面接で、
『今までの人生を振り返って幸せだったか?』という質問があって、
幸せだったと答えた学生とそうではなかったと答えた学生の
どちらを企業は採用すると思う?」
彼が私に尋ねました。
「それは『幸せだった。』と答えた学生の方でしょう。
考え方がポジティブだから。」
「それはそうなんだけど、
採用側の理由は『幸せだった。』と答えた学生の方が
人に感謝する気持ちを持っているからなんだそうだ。」
「それは納得ですね。」
「俺は思うんだけど、誰の人生だって何らかの苦しみは伴うだろう。
一生を送ってみれば誰の人生にだって良いことも悪いこともある。
その運命は変えようがないんだから、
あとはその人生を本人がどういう気持ちで生きるかだろう。」
彼の話を聞きながら、
私は彼のポジティブな考え方や人との付き合い方の根底にあるものを
見たような気がしました。
彼の普段の言動を見ていると、彼が家族や友人、
かつての恋人に対しても感謝の気持ちを持っていることが感じられます。
過去を切り捨ててきた私の人生と比べて、
過去の思い出や人間関係を今も大切にしている彼の人生は、
ずっと豊かなものに思えるのでした。
彼は決して過去の過ちや失敗を他人のせいにしたりしない人です。
私が過去の自分や過去の恋愛を悪く言うと、
彼は思い出を傷つけるような言葉は口にしません。
私達の付き合いが三年後、五年後にどうなるのか、
私には想像も出来ないけれど、
いつか振り返った時に彼と過ごした日々に感謝できるような
そんな恋をしていきたいと思いました。
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