こうして私はあなたを好きになった
綴りたいのは残された言葉、なつかしい匂い、
揺れる気持ち、忘れられない感触

2009年10月27日(火) 彼の手の温もり


 先週のデートで、私達は映画を観に行く予定になっていました。

 作品も上映時間も前日の電話で二人で決めていました。

 けれど、会った時に彼が映画を観ることに気乗りしない様子だったので、

 予定を変更して美しい自然に囲まれたダムを見に行くことにしました。




 駐車場に車を止めて、ダムの近くのカレー屋さんでランチをしました。

 それから、電気バスに乗ってダムへ向かいました。

 その日はとても寒く、私はベージュのステンカラーコートの上に

 ペールブルーのマフラーを巻きました。




 バスを降りて、湖と緑の雄大な景観を楽しんだ後、

 私達は誰よりも先に停車中の帰りのバスに乗り込みました。

 手が冷たくなっていたので、私の右手を彼の左手に伸ばすと、

 
 「冷たいなぁ。」


 と言って、彼は私の右手を彼のジャケットのポケットに入れました。




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 初めは私達二人しかいなかったバスの中も、

 ダムの見学を終えた人達で次第に混んで来ました。

 私の右手はすっぽり彼の左ポケットの中に入っていたから、

 きっと他の人には私達が手を握り合っていることは分からなかった

 でしょう。

 それでも、バスに乗っている間ずっと、

 私は彼と秘密を共有しているような気持ちになって、

 何も言葉を交わさずにドキドキしていました。

 彼の大きな手の温もりを感じながら…。


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理沙子

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