温泉旅行から帰って来て4日後に彼に会いました。
デートの前に私はルナになっていることを彼に伝えていました。
ホテルのお部屋で借りてきた映画のDVDを観ました。
いつものように彼が私を後ろから抱いて
身体のあちこちに触れてくるので、
私はなかなか映画に集中することが出来ませんでした。
時々私が彼の方に振り向いて、
「ねぇ、刺激しないで。」
と言うと、彼は素知らぬ顔で、
「俺はちゃんと観てるよ。」
と言うのでした。
夜は大好きなワインと串焼きのお店へ行きました。
カウンターの隅に並んで座って、
次から次へとサーブされる美味しい串焼きを頂きました。
彼は赤、私は白のワインを飲んでいました。
彼が3杯目のグラスに口を付ける前に私の方を見て、
「今日は飲んでいいね。」
と私に尋ねました。
いつもなら彼が私にこのように尋ねるのは、
帰りに車で私を送らなくてもいいかどうかを確認する時でした。
「えっ、もっと飲むんですか?」
ベッドの上で映画を観ながら彼の執拗な攻めに抵抗していた私なのに、
その時の素振りとは矛盾した言葉を口にしていました。
「もう今日は何もすることがないから。」
彼はそう言って、私の目を覗き込みました。
「もしかして…期待していいの?^^」
「分からないです。Tさんの好きにしていいですよ。
飲みたかったら飲んで下さい。飲みたくなかったら飲まないで。^^」
「何だよ。それは。(笑)」
ホテルに戻るタクシーの中で私は彼の膝の上に右手をのせました。
私の右手は彼の厚みのある大きな手の中に包まれました。
ホテルのエレベーターの中で彼とキスをしました。
抱き合えない日だと思えば思うほど、
二人の求め合う気持ちは強くなるような気がしました。
結局、私達は愛し合いました。
終わった後、シーツの上に付いた数滴の血液の染みを見て、
欲望を抑えられなかった自分が急に恥ずかしくなりました。
「浅ましいね…。」
「全然そんなこと無いよ。」
「Tさんのに血が付いちゃったでしょ。ごめんね。」
「謝らなくていいから。」
シャワーを浴びた後、
彼は私をいたわるように優しく抱きしめてくれました。
私がどんなに彼を好きな気持ちを見せても、どんなに彼を求めても、
いつもありったけの包容力で受け止めてくれる彼。
今までずっと女に「好き?」と聞かれることは、
男の人にとって逃げたくなるような嫌なことだと思っていました。
彼は私に「好き?」と聞かれると、
私を求める気持ちがもっと強くなると言いました。
私はきっと今までにない幸せな恋をしているのでしょう。
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