こうして私はあなたを好きになった
綴りたいのは残された言葉、なつかしい匂い、
揺れる気持ち、忘れられない感触

2010年03月26日(金) 初めての言葉


 会社の飲み会らしい予約客でいっぱいだったいつものお店。

 カウンターの椅子は全てテーブル席に借り出されていました。

 顔馴染みの女性スタッフがオフィス用の椅子を持って来てくれました。


 「俺は立ち飲みでいいから座りなさい。」


 若い男性スタッフが近くの姉妹店から椅子を持って来るまで、

 二人きりのカウンターで彼は立ったまま、

 私はスタッフ用の無機質な椅子に座ってワインを飲みました。

 私達は予約をしてから出かけたから、

 お店の椅子が全て使われてしまっていたのはスタッフ側のミス。

 相手が違えばうんざりさせられるような出来事も、

 彼の機転と通い慣れたお店のスムーズな対応で、

 思いがけない楽しい状況を生み出してしまうから不思議です。


 「私の膝の上に座りますか?^^」


 「普通は逆だろうが。(笑)」


 「半分こして座りますか?^^」


 「怪しまれるからやめなさい。^^」




 椅子が運ばれて来てからしばらくしてテーブル席の方も空いたので、

 私達はワイングラスを持ってそちらの方へ移りました。

 私達はその日に観たミュージカル映画の話をしました。


 最近の彼はスカパーで良い映画が上映されると、

 メールで私に観るようにと勧めます。

 
 「理沙子が観ていないなら買おう。」


 と言って、彼のお薦めの映画のDVDを買うこともあります。




 この夜、私達は抱き合いながら、

 お互いに何度も「大好き。」と囁きました。

 小さな不安や迷いやためらいも入り込む隙間が無いほど、

 私達は密に繋がっていると感じられました。




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 男の人にそんな風に言われたのは、私にとっては初めてのことでした。


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理沙子

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