こうして私はあなたを好きになった
綴りたいのは残された言葉、なつかしい匂い、
揺れる気持ち、忘れられない感触

2010年05月30日(日) 即効性


 ベッドで私が目を覚ました時、彼はまだ寝息をたてて眠っていました。

 しばらく愛しい人の寝顔を見つめた後、私はそっとベッドを離れました。

 よっぽど疲れていたのでしょう。
 
 私がシャワーを浴び、メイクを直してから何度か彼に声をかけたけれど、

 一向に起きる気配はありません。

 私は少し離れたソファーに座り、彼に電話をしてみました。

 私とのデート中は彼の携帯電話は常時サイレントモードになっています。

 眠っている彼はベッドサイドの携帯電話の着信ランプにも

 全く気づいていません。

 私は思わず苦笑してしまいました。

 私が彼と電話が繋がらないのはこういう時だと

 妙に納得してしまいました。




 「Tさん。」


 少し大きな声で呼んでみました。


 「あれ?もう用意出来たの?」


 服を着てソファに座っている私を見て、彼は驚いています。


 「今、電話してみたんですよ。^^」


 彼は自分の携帯電話を手に取ると、


 「ほんとだ…。」


 と言いました。


 「ぐっすり眠ってましたね。何度か声をかけたんですよ。

  疲れてたんですね。」




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 彼がいつもの調子で私をからかいました。




 土曜日の午後、電話したいと彼にメールを送りました。

 自宅にいた彼から今ならいいよとすぐに返信。


 「俺の声が聞きたかったの?」


 「まあね。^^」


 「まあねって何だよ。

  声が聞きたかったって言いなさい。^^」


 「あはは。」


 「6月のレストランの予約、取れたよ。」


 「ありがとうございます。

  すごく楽しみ〜。

  早く食べたいなぁ。」


 「それまでにまだ何度か会うんだから。^^」


 「そうだけど…。

  それまで美味しいものは控えておこう。^^」


 彼の言うとおり、本当は声が聞きたかっただけ。

 オフの日に自宅にいる時の彼の声は、

 オフィスにいる時よりも甘い響きがします。

 会えなくて寂しい時、10通のメールよりも1本の電話の方が

 ずっと即効性があると思いました。


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理沙子

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