こうして私はあなたを好きになった
綴りたいのは残された言葉、なつかしい匂い、
揺れる気持ち、忘れられない感触

2010年08月07日(土) Gクラスみたいな女


 ゲレンデバーゲンで初めて遠出した日の夜、

 私達はシティホテルのレストランのテーブルで、

 向かい合って食事をしていました。




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 彼が初めてGで長距離ドライブをした感想を言いました。

 うるさいというのは走る時に風を切る音のことです。


 「ユーザーレポートを読んでいると、

  『金庫みたいな車だ。』とか、

  『これ一台だけだと辛い。』とか色々出て来る。(笑)」


 彼の話を聞いていると、

 Gは彼が長年ずっと乗っているセダン型のベンツに比べて

 不便な点も幾つかあるようです。


 「普段使いするなら今までのベンツの方がいい?」


 「そうだな。Gは高速を走るのには向かないかもしれないな。

  初めて乗ってみて結構疲れたよ。」


 「私は自分に例えられたから、Gの味方をしちゃう。

  Gを悪く言わないで。^^

  私はあの車大好き。」


 「ホテルの駐車場のおじさんに

  『乗り換えたんですか?』って聞かれたよ。^^」


 「もし私と付き合っていなかったら、買わなかったかもしれない?」


 彼はしばらく無言で考えている様子でしたが、


 「そうかもしれないな…。」


 と言いました。


 「扱いにくい車だってTさんならちゃんと操縦出来るでしょ?」


 私はGと自分を重ね合わせて、彼に聞きました。


 「そうだな。余裕が無ければ買わない車だよ。」


 「若い頃だったら買わない車でしょ。

  でも、前のベンツの方が乗り心地がいいなんてちょっとショック。

  Gは普段使い出来ないの?」


 「何言ってんだよ。

  Gの方が前のよりずっと高価な車なんだよ。」


 「レアなんでしょ?

  私はレアな女じゃないよね。」


 「初めはそうでもなかったけど、だんだんレアになってきた。^^」




 ちょっとしたたとえ話に過ぎないのに、

 私はやっぱり普段使いされる一台目になりたかったなと思ったり…。

 でも彼の好奇心をいつまでも惹きつけられる二台目なら、

 それでもいいような気もするのでした。




 この夜、ベッドで愛し合う前に、彼は私を抱きしめて、


 「今日はきっと乗り心地がいいよ。^^」


 と囁きました。


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理沙子

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