想像を超えた速さで時は過ぎ、あっという間に大晦日がやってきた。なんやかんや、あれやこれやなんとか都合をつけ、いつもと同じことやってる私がいる。今日は一日台所の囚われ人だ。
そして戸棚を開けた拍子にポットを見つけると、これで父ちゃんにコーヒーを運んだことを思い出し、緑と白のプラスチックのコップは二人でそのコーヒーを飲んだ記憶が刻まれている。
季節を違えず花を咲かせる鉢植えを見て義姉さまを思い出すように、コーヒーを飲む度、あんこたっぷりの和菓子の見る度、私は父ちゃんを思い出す。そして、たねやの最中を見る度に、自分の分なのに私にくれた最年長の、父ちゃんと同じ年の友人を思い出す。
私は優しい人に囲まれて生きてきた。
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