悩みは人生を充実させる/文集「人生の時」

2014年04月21日(月)    2

9、(夜)暖かなベッドのなかで/丸く眠っていると/
  窓の外に/月光が感じられ/
  さみしげなしあわせを思う
  すべての風物が/わたしを中心に円形に捉えられ/
  静かな時は過ぎる/さみしげでしあわせな夜/
  月は山上に輝いて/すべての風物は斜めに/
  暗く蒼い影を落とす 冷酷な風は途絶えて/
  無風の大気が清く澄んで/
  満天の星星がうつくしい

10、(静かな夜)夜の間中/雪はしんしんと降り積もった
  野原も畑も家も/ 静寂につつまれていた
  わたしの夢もやさしさに包まれて/
  静かな時はすぎた

11、(静夜)ベッドのなかで/眠ろうとした時/
  足音のように/ポツリポツリと/
  しめやかに雨足(あまあし)が近づいてきた
  やがてやさしい雨につつまれて/
  もう眠りを妨げるものは何もなかった

12、(少女)少女の命は/花のように儚(はかな)くて
  少女のくちびるは/私にはもう甘すぎる

13、(花うらない)歓喜の夏が去って/人恋しげな秋が来た
  コスモス・リンドウ・キキョウ
  うす紅・紫・青紫
  清純な花の香りにつつまれて/おさげの少女は/
  きれいな指先で/花うらないをする
  花びらを一枚づつ取り去ってゆく残酷さに/
  だれも気づかない
  (そんな風に/さりげない仕草で/
  人を傷つけたことは/ありませんか)

14、(冬)私は冬を愛する 山道は途切れ/
  朽ちた葉を踏みしめる自分の足跡/
  森の冬はさびしい
  私は冬を愛する/私はひとりを肯定する

15、(秋の蝶)花らしき花もない/
  寂しい風景のなかでは/神の摂理も働かなかった/
  哀れ/一羽の蝶は/すすきの原を独りさまよう

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