かたほうだけのパンプス
敦子



 エンドレスゲーム

毎日、毎日、ゴロゴロしていて私何やってんだろうと思う。

そういう状態の自分をずっと否定していたし、否定の理由を探そうと躍起だった。

というのは、この世は特に日本は健康であることが第一という概念で覆われている。

病気はやっかいであり、何も出来ずにのうのうと暮らすのは、勤勉日本にはあるまじきことなのだ。

ということで私は、落ち込み、否定するほかなかった。


それは日本が資源に乏しい国だから、動くことこそが資源だから。そういうことに外れると意味がない。

のんびりとのうのうと生きることが本来の意義と思っているようなところが外国にはあって時間の隙、そういうのを無駄とは言わずにそれはそれでその時々を楽しみ味わう。

でも日本はそうではない。

正直、病気になってから楽しいことはけっこうあった。

治っていく喜び。

学校でもない、仕事でもない。住むところチガウ、宗教もチガウ、年齢人生がまったく重なることがない人との出会いはそれはそれはけっこうよかった。

だからそれでいいじゃん。

本来は、シンプルにそれでもいいのに、日本では何かしなくてはいけないことになる。

仕事するとか、何か、ナニカ。

私は、仕事がなく、就くことが出来ないから、

「ショウガナイネ」と言われ

世間の厄介者扱いされることを怖がり。

でも、まわりの動きに一所懸命に合わせて人生の、私の本来の意味を知ろうとあえいでいた。

わからなかった。

というよりも私には合わないことがわかったのだ。

でもそんなこと言うと、ここは日本だから否定の海だから、それは入水か身投げをするようなこと。

で、言わない。本音をグッと飲む。

本音を言わずに飲み込むと、身体に毒素として留まり身体の汚染がはじまる。

気がついた時には、こんなに数値が上がってますよ。ハイ、ニュウイン、ハイシュジュツ。

ICUをでると友達になる高齢者。

私も入居者としての共同生活が始まる。

高齢者は、高齢者の世界へ入って来たニュウ高齢者と歓迎。

私は、術後の後のり患者としての新顔であって、高齢者の世界に入ったつもりではないんだけど。


2013年03月20日(水)
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