2009年11月03日(火)...繋ぐ何か

 自棄にひやりとした空気に、冬の始まりを知る。ビルの谷間に迷い込んだ風がかさかさと枯葉を舞い上げていた。営業時間前の繁華街は、寒空に朝を迎えた横顔が生気を失ったまま、煙を吐き出している。ぐたり、とへたり込んだ背中から覗く豹柄の其れに、幾人ものスーツ姿が視線を遣りながら通り過ぎるのを、ぼんやりと眺めていた。
 待つ、ことに慣らされてゆく感覚が酷く厭で、短絡や刹那を嘲る其れの寄越す点在にしかならない何かを、握り締めたまま、潰すことも出来ずに居る。渡された2枚の紙切れで時間を引き換えても、空腹を満たす気持ちにもなれずにまた、適当な相槌と偽りの感情を持て余すだけ。
 今はただ、冷えたベッドに丸くなって、この顔にへばり付いた情けない表情を誰にも気取られぬ様ひっそりと、左腕に当てたその鋭利さが与える緊張と高揚に温められて居ればいい。

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