待ちぼうけ日記。

2014年10月14日(火) せつないハードボイルド。(3)


つづき。


チャイナシャドー(Shadow Of China)。

主演のジョン・ローン(香港出身でアメリカ国籍の
オリエンタルでミステリアスな雰囲気の俳優さん)も
香港の街のカオスな雰囲気も魅力的だけど、
とにかく、
主人公の運命を飲み込んで流れる
歴史の大きなうねりに圧倒される映画だ。

この映画の撮影中に天安門事件が起きた。(1989年6月4日)
民主化運動をしていた学生や一般市民を
人民解放軍が武力で弾圧し、たくさんの人が亡くなった。
ジョン・ローンは事件後、
腕に喪章をつけて撮影を続けたそうだ。

そんなことも含めて、
とにかく印象に残る映画。

なのにDVDがないなんてー!!
もう一度観たい・・・。
待ってたらいつかDVD出るかな。
今は、あのとき買った映画のパンフレットと
サントラのCDで我慢するしかないな。

ストーリーだけでなく、
オープニングとエンディングの
音楽と映像もインパクト大だった。

オープニングの映像は、
毛沢東の死去に声を上げて泣く無数の人民たち。
エンディングの映像は多分、
主人公が少年時代中国人として育てられた家。
最初と最後は、
なんだかドキュメンタリー映画風だった。

音楽はサキソフォン奏者の清水靖晃。
(って、私はよく知らないけど。汗)
オープニングとエンディングは
同じ曲を少しアレンジを変えて使っている。

風にのって聞こえてくる
人々の悲しみ・絶望の声は
うねるような重低音に飲み込まれていく・・・。
そこに哀愁を帯びたサキソフォンが響く。
(何となく京劇の歌の節回しのような?
 篳篥(ひちりき)の音のような?)
ビリビリとした音の重なりは、
自らの運命に押し流される人々の苦悩のようでもあり、
アイデンティティー崩壊の危機にさらされながらも
懸命に生きようとしている主人公の心の痛みのようでもあり、
何度聴いても鳥肌が立ってしまう。


ヘンリーが国境を越え中国に帰ってから25年。
そのあいだに中国は
ものすごいスピードで経済発展を遂げた。

今の中国を、
ヘンリーはどう思っているのだろう。
新しい革命への道は
まだまだ遠い?


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