思い出の貝殻をお気に入りの小瓶に詰めたら・・・
耳に近づけてそっと・・振ってみてください
懐かしい音が聴こえて来ませんか!?
風がくれたもの
あなたが贈ってくれた
この風に吹かれ
空の彼方彷徨い
流されて・・
盲目の逢瀬
沈黙の語らい
素朴な誓い
など・・
その一片ひとひらを
あなたの元へ
震える心で
撒きましょう
停まる駅も
向かう駅も
もう探すこともない
忘れる愛もあると
信じるから
辛くなんかないわ
何ひとつ
失くしたものは
ないのだから
あの時の
あの場所まで
風に吹かれたら
あなたに出逢う
ほんの少し前に
戻れるはず
そしたら・・
風にありがとうって
言うつもり
144
もう一度
photo by siki
朝の微睡みの中に
夜の吐息の中に
蒼き狼の
遠吠えを
君の嘆きと聞いた
小さき私ごときに
君の命は
あまりに眩しすぎて
この雲の中に
身を鎮めてしまいました
君が差し出す
その手を
躊躇って
今の私は
この場所を動けないまま
もう一度
その手を
掴みたいのに・・
もう一度
その微笑みを
受け止めてみたいのに・・
もう一度・・・
あの頃の私に
戻れたら・・
143
天使がいる・・春
はじける声は
青空に溶ける木霊
真っ赤なボールは草を食み
お気に入りの靴が土を蹴る
五月の空を泳ぐのは
君と 君を見つめる燕たち
カラカラとかざぐるま
さわさわと川の風
真っ青な空が
君を抱き上げた
ピンクの服が
ちょうちょうみたいに飛んだ
柔らかな髪の毛が
羽根のように舞った
二歳の春は真綿色
二歳の天使は桃色ほっぺ
つぎつぎに
覚えたての歌
優しいココロ
ひとつ
優しいエガオ
ひとつ ふたつ
優しいアイ見つけた
ひとつ ふたつ みっつ
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