あたたかなおうち
華

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■ 万年筆

プレゼントは大抵、当日まで待てずに渡してしまう。

開けて、開けて
包みをほどく祐ちゃんの姿を、
私はわくわくしながら眺める。

細長いケースの中にあるのは
名前入りの、マリンブルー色の万年筆。


あと3日で祐ちゃんは26歳になる。
年の差はまた5つになる。

2005年04月30日(土)

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■ ふたり

私が歯を磨きに行くと、祐ちゃんもつられてやってくる。

前面所の鏡に、歯ブラシをくわえた二人の姿が映る。
祐ちゃんと私が一緒にいる様子を見ることは
そういえばあまりなくて
歯を磨きながら私は無心で鏡に見入ってしまう。


いい男といい女がいるね
祐ちゃんが私に気づいて笑う。

私も笑う。
鏡の中の二人が自然なのが嬉しい。

2005年04月26日(火)

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■ 金曜日

金曜日の夜。
先生から、大学生の女の子に戻る。

きつく結った髪をほどいて
久しぶりに指輪をはめて
私は大きく伸びをする。

すぐに玄関のチャイムが鳴る。
急いでドアを開けると
お土産をたくさん持った祐ちゃんが立っている。


2005年04月16日(土)

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■ ちから

やっぱり、先生方はすごい。
実習に行くと自分の無力さを痛感する。


祐ちゃん
布団の中で祐ちゃんに問いかける。
いつものように、手をつないで並びながら。
私が先生になれなかったら、養ってくれる?
祐ちゃんはふわりと笑って、こっちを向く。
養ってあげるよ。華のひとりやふたり
祐ちゃんの体温が私を包む。

いやいや、ひとりだよー
笑いながら、私はほっとする。

その答えが、どれだけ私を癒し、力になっているか
きっと祐ちゃんは知らない。


大丈夫、明日も頑張ろう。


2005年04月13日(水)

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■ 月日

保とうとするのではなくて
気づいたらこんなに月日が経っていた。


そう、
祐ちゃんとの日々は、そんな感じ。

2005年04月12日(火)

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■ 桜

桜がきれいだから
自転車で近所のパスタ屋に行こうと提案する。


休みの日は二人で昼過ぎまでごろごろする。
のんびりと始まる一日。
まるで貯蓄していたように
時間がたっぷりと、のんびりと流れる。


時間の速さは、無意識に自分で決めているのかもしれない。


なんでもない話をしながら
二人乗りした自転車で、桜並木を通るとき
満開に咲き乱れる桜の花の美しさに
思わず息を呑み、二人とも言葉を失う。


2005年04月10日(日)

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■ 布団

華。こっち向いて
布団の中で祐ちゃんに抱きしめられる。

大丈夫だよ、ずっと俺がついてるから
祐ちゃんの胸に顔をうずめた格好で
頭の上から穏やかな声が聞こえる。

疲れたら俺が癒してあげるから
うん
絶対離さないから
うん
髪をなでてくれる手が心地よくて
私は次第に眠りに落ちていく。
祐ちゃんの声が遠くなる。

華は、俺の人生の一部なんだよ

2005年04月06日(水)

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■ 片付け

私の精神状態と、部屋の汚さは比例する。


家に帰ると、部屋が片付いていることに気がつく。
テーブルの上には、見慣れた字の置手紙がある。

ああ、やられた、と思う。
私のことを知り尽くした、祐ちゃんのサポート。


心が軽くなるのがわかる。
大丈夫。
私はまだ、頑張れる。


2005年04月05日(火)

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■ コンビニ

徒歩1分の距離にコンビニがある。

次の日が休日の夜に、
祐ちゃんとコンビニに行くのが好きだ。
素敵な夜更かしをするために
お酒だのお菓子だのを買い込む。
まるで遠足の前夜のように。
華、重いでしょ
かごを持つのは、途中からいつも祐ちゃんになる。


どうせ半分も食べないうちに、私も祐ちゃんも眠ってしまう。
そんなことはわかっているけれど
かごはいつもいっぱいになる。

大きな袋の端を、片方ずつ持って、
わくわくしながら夜道を歩く。


2005年04月02日(土)

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■ 2年目

温かな気配を感じて目が覚めた。

寝ぼけながら、
祐ちゃんの大きな手が頬に触れるのを感じる。
そのままほんの少しうとうとしたすきに
祐ちゃんはドアのほうに歩いていってしまう。
私は飛び起きて急いで追いかける。


振り向いた祐ちゃんの、ネクタイをきちんと直す。
いってらっしゃい
よく見えない目を細めて言う。
祐ちゃんは笑って、
私の頭をくしゃくしゃと優しくなでる。

いってきます
ドアの向こうの光がまぶしい。

今日から祐ちゃんは、教師生活2年目。

2005年04月01日(金)
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