てくてくミーハー道場
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2009年02月27日(金) |
『夜の来訪者』(紀伊国屋ホール) |
日本列島が激しく冷えた本日、普段はタレカ(ふぐすま弁です)なぼくですが、劇場へ行く用事だけは元気にてくてく出かけました。
いやあ〜、行って良かった。
実は「完璧」とは言えないが、100点満点で言えば、99.5点の脚本、95点の役者たち、99点の演出でした。
なにしろ基本ミステリーなので、脚本に関する詳しい感想を書くと、完全にネタばれしてしまうので、書きにくい。
なので気をつけつつ書くと、0.5点のマイナスは、最後の電話。
あれで「どんでん返し」になってるのかも知れないが、ぼくには、逆にテーマがぶれた気がした。
あれがないと、確かに「オチ」がなく終わってしまうのだが、ぼくは、あのシーンの直前までで、充分この戯曲のテーマに深く感動できたと自分で思っていたし、それを、最後のシーンは、むりやり(落語で言う)「さげ」を作った感があって、ちょっとがっかりしたのである。
(ここ、すごいネタバレ)「誰でも、うっかりと、自分でも気づかないうちに誰かを深く傷つけてしまう危険がある」ということを、すごく実感を持って教えてもらっただけでも、ぼくはこの芝居を観て良かったと思う。
そして、それを素直に反省できる人間と、隙があれば「なかったこと」にしようとする人間のタイプを知ることもできた。
さらに、素直に反省することが、果たして正しいことなのか。偽善と善良の境目って、一体何なのか、ということまで考えさせられた。
ところが、あのラストシーンが入ったことによって、
「自然に反省できる人間」
の意義を無にしてしまった気がするのだ。
ぼくは、オトメな発想と笑われても、段田さんの正体は「カミサマ」だったと思いたい。
途中まで、「その女の兄かなんかかも」と俗っぽい推理をしてしまったのだが(^^ゞ
そんなオチじゃなくて、良かった。
役者のマイナス5点は、残念ながら坂井真紀ちゃん。
終始同じ抑揚、同じリズムのセリフ回しで、「膨大なセリフを、一所懸命間違えないようにしゃべってる」感があって、時々「ん? 今、何て言ったんだ?」と気が散ってならなかった。
彼女以外の役者さんたちは、期待どおりパーフェクトでした。
高橋克実さんは、まぎれもなく尊大な立志伝中の親父で、渡辺えりさんは、体面第一のお金と時間と“慈善”を持て余した奥様で、梅沢昌代さんは、完璧な「家政婦は見た」で(≧∇≦)
オカケンと八嶋智人クンは、どちらも「苦労を知らないぼっちゃん」なのだが、親の「金持ちとしてのタイプ」が恐らく違うのだ、ということをありありと見せていた。
八嶋クンの方が、少々いじけ気味のおぼっちゃんなのである。
多分、成り上がりの秋吉家に対し、森永家は先祖代々の名家なんだろう。
だから、兼郎(八嶋クン)は自分の「罪」に対してすごくナーバスだし、良三(オカケン)は、「うん、悪いことしたよ。それが何か?」みたいな感じなのだ。
そして、段田安則さんの、何とも言えない不気味さ。
「この人、絶対全部お見通しなんだ!」と思わせる演技。
だから「カミサマ」だと思ったんだがなあ。違うのかなあ(弱気)
段田さん初の演出に関しては、変なケレンに走ることなく、じわじわとくる怖さで、良かった。
とにかくあんまり詳しく書けないのが残念ですが。
しかし、高橋克実は本当にカッコいい役者だ(本気)
テレビに出て売れるのは結構なことなんだけど、バラエティでの「さえないおじさん代表」のイメージばっか広く流布されちゃってる感が・・・あ、いや、だからこそか? そのイメージと、舞台に立っている時のカッコ良さのギャップがモエ〜なのかもしれん(*^^*)
そんな克実さんには、当然ながらたくさんの祝い花が贈られていました(もちろん、他の役者さんたちにもまんべんなく贈られていたが)
『33分探偵』関係者からとは別に、つよっさん個人で克実さんに、ツヨぽんからも、克実さんとえりさんに贈ってました(←ジャニーズに聡いミーハー眼)
あぁ〜っ、そうだ、『瞼の母』の感想・・・(もう誰も期待してないぞ!)
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