| 2021年11月03日(水) |
宿根菫の葉を何となしに捲ってみる。するとその陰に何本もの新芽が。弾けた種から育った子たちだ。こんな葉の陰で、それでも懸命にか細い手を伸ばしている。そして何年も上っ放しにしているイフェイオンや水仙の球根たちが集まるプランターからは、次々芽が萌え出始めている。この子たちももう何年目だろう。覚えていない。花なんてもう小さいものしか咲かないけれど、それでも律義に毎年芽を出してくる。その懸命な呼吸が嬉しい。このところ血圧の変動が激しいのか、ふらついて仕方がない。今もタイプをしながら頭がくらりとしている。どうしてしまったのだろう。何かがおかしい。この身体の変調、さすがにおかしいと私自身思う。
朝、ふと思いついて、買っておいたマーコットでジャムを作ることにする。息子に皮むきを手伝ってもらう。せっせとふたりで皮を剥き、実を解し、鍋に投入。とろ火でことこと煮込む。砂糖は少なめ。レモンを加えようかとも一瞬思ったのだけれど、マーコットの酸味で十分かも、と思い直し入れずに済ます。きれいな橙色のジャムができあがった。瓶詰にして四つ。友人ふたり、そして実家の両親へ、残りは私たち自身で戴くことにする。 ジャムづくりというのは幸せな作業だと思う。煮詰めて煮詰めて、その間めいいっぱい愛情と手間を注いで、それらが結晶のように煮詰まってそうしてできあがる。きらきら輝く橙色を見つめながら、おいしく食べてもらってね、と呪文をかける。
9月、10月はあっという間に過ぎ去り、暦は11月に。今年も残りあとわずか。信じられない速さだ。この分だとこれからの十年間はまさに言葉通りあっという間に過ぎるに違いない。そしてふと近くにいる息子の十年を想像する。私の十年とは違う、新しいやはじめてがぎゅうぎゅうに詰まった十年なんだろう。その十年が、次の十年の足掛かりになる。息子よ、精一杯生きろ。
境界線、ということについてぼんやり考え続けている。私は線引きが下手だ。自分の領域を守るための線引きが特に苦手だ。ついつい踏み込ませてしまう。でもそのせいで互いに傷つけ合ってしまう。そんなことになるくらいなら、最初に私がきちんと、線引きをしてみせるべきだった、と、悔やむ。後悔先に立たずとはこのこと。 家人にもそのことについて言われる。踏み込ませ過ぎなんだ君は、と。その結果相手に執着を抱かせ碌な結果にならなかったケースがいくつもあるじゃないか、と。 確かに。家人の言う通り、いい加減それらの過去のケースから学んだ方がいい。自分に嫌気がさしつつも、つきあっていくしかないのだから、しっかりせねば、と思う。 自分のことは自分が一番分かっていないのだろう。自分を日々見つめているつもりではあるが、まったくもって足りていない、そのことを痛感する。
そういえば。今朝、ほんの一瞬、棚引く東の空の雲が色づいた。美しい蛍光色のようなピンクと紫の間の色だった。本当に一瞬で、カメラに収めた後部屋に入り振り向いたその時には、周りの灰色の雲に呑まれて消え去っていた。 世界は美しい、と私と娘に語った友人がいたけれど。こんな光景に出会う時、私はその彼を思い出すのだ。世界はもっと美しい。 |
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