| 2021年11月06日(土) |
宿根菫の種をようやく拾えた。いつも気づくと弾けてしまっていて、ちっとも拾えなかったのだ。嬉しい。そしてちょうど母から電話があり、母がいつも育てている菫の種を送ってくれるという。届いたら息子と早速種を蒔こう。もう種蒔きの時期ぎりぎりだ。 薔薇のうどん粉病があっという間に拡がってしまった。慌てて片っ端から切り落とす。本当は土も替えてやらねばならないのだろうが、それはさすがに今手が回らない。とにもかくにも病葉はすべて摘む。摘んだ病葉の山を見、ちょっと胸が締め付けられる。せっかくこの世界にやってきたのに、病葉だったが故にこんなふうに摘まれてしまう切なさ。ごめんね、と心の中呟く。 そしてもうひとつ、息子と私とで植えたぶどうの種の芽なのかどうかわからないのだが、これまで見たことのない形の葉が。この子は誰れなんだろう。ぶどうならいいのだけれど。まだ分からないので雑草と間違わないように気を付けて見守っている。
日の出時刻、東の空が今朝もぼんやり霞んでいる。くっきりとした色合いを期待していたのだけれど、今朝も裏切られた感じ。ちょっとがっかり。でも、太陽が地平線を割って現れたその瞬間は、霞んだ大気を切り裂いてまっすぐに陽光の手が伸ばされる。この一瞬の陽光の神々しさったら。背筋が伸びる。 洗濯機をせっせと廻す。乾燥した空気でぱりっと仕上がる今日この頃、ちょっと乾燥し過ぎかしらとも思うのだが、気持ちよく洗濯物が乾くと、それだけで嬉しい。そういえば娘が「私洗濯物を畳むの大好き」と言っていた。よく乾いた洗濯物の匂いが私も好きだ。それだけで幸せな気持ちになれる。
急遽二人展が決まった。一か月後。一か月後に作品を展示するなんてこれまでやったことはないが、何とかせねばなるまい。やるとなったからにはやるのだ。思い切り自分の中の螺子を廻す。一か月なんてあっという間に違いない。やれることは片っ端から片づけていかないと。
週末は、ともかく忙しい。息子のダンスの発表会に向けて練習やらリハーサルやらひたすら詰まっている。今日もせっせと自転車を駅4つ分走らせてダンス教室へ。息子を送り届けたら親の私は「密を避ける為」に外へ。さて今日はどこで時間を潰そうかということで一駅分戻って珈琲屋へ席を取る。 そこに不思議な老女がいた。83歳だと言う彼女は、ひとりで入って来る女性を見つけるとすぐ声をかけて自分の隣の席に座らせる。そしてひたすら喋っている。私はひとりになりたくてウォークマンのボリュームを上げ、申し訳ないが片耳を塞いで作業を続ける。受刑者さんに手紙を書かなくてはいけないのだ。おしゃべりにおつきあいはできないのだ。自分に言い聞かせ、せっせと手紙を書く。が、どうしても途切れ途切れにお隣さんの声が耳に届く。 「息子は今」「孫は今」「ひ孫は今」と続く彼女の自分語り。話されている側は戸惑った表情を浮かべ、彼女がトイレに立った隙にすっと離れてゆく。なんだかちょっと寂しいな、と思いながら、私はノートパソコンの画面をじっと見つめている。 三時間。そうして時間を潰し、再び息子を迎えに教室まで自転車を飛ばす。 「母ちゃん、おなかすいた」 「じゃあ自転車の後ろで肉まん食べる?買う?」 「うん」 肉まんをゲットして自転車をさらに走らせる。私達は走りながらとにかく喋る。いや、息子が喋るので私も返事をするという具合。今日はダンスをしながらクリスマスプレゼントが早く届かないかなと考え続けていた話。 「母ちゃん、サンタさん見たことある?」 「あるよ」 「あるの?!」 「うん。チラ見したことある」 「どうだった?どんな顔してた?」 「チラ見だから顔まで見てないけど。でもね。サンタを見ちゃうと、もうサンタは来てくれなくなるんだよ」 「え?!」 「だって母ちゃん、その次の年から、サンタ来なくなったもん」 「えーーー!それ、やだ」 「だから、クリスマスの日は早々に寝ちゃわないとだめなんだよ」 「えええええ」 息子が目を白黒させているだろうその表情が、自転車を走りながらもありありと浮かび、私は笑いをかみ殺す。でもほんとなんだよ、サンタが誰だかわかっちゃったら、もうサンタは来なくなるんだよ。だから、もうしばらくサンタはどんな顔かな、どんなふうに来るのかな、と、あれこれ夢想して楽しんでてちょうだいね、息子よ。 あっという間に暮れてゆく秋の夕暮れ。私達はようやく家に辿り着く。さて、ワンコの散歩に行かなくちゃ。
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