2022年06月14日(火) |
挿し木してみた紫陽花たち、萎れてしまった子もいるのだけれど、踏ん張って立っていてくれている子らもいる。せっせと水を遣る。一本でも根付いてくれたら嬉しい。 アメリカンブルーがとうとう咲いた。灰かび病と分かって丸々刈り込んだのが春。以来、少しずつ少しずつ緑が茂り出し、ああ嬉しいと思っていた。花はまだ先だろうなと思っていたから、とにかく無事に茂みができるといいなと、そう思っていたのだが。今日ふと見たら、あの青い青い花が二つ三つ、ちらちらと咲いているのを見つけた。ああ、私はやっぱりこの子らの青色が大好きだ、と改めて思った。この、濁りのない青色が。 薔薇の樹、何枚かうどん粉病の葉を見つけ、急いで摘む。この季節、努力はしているつもりなのだけれどいつもうどんこ病になる子らが出てきてしまう。ごめんね、と手を合わせて葉を摘む。せっかくこの世に現れ出たのにすぐ摘まれてしまう悲しさ。本当に申し訳なく思う。この子らが好き好んで病気になったわけじゃないのに。 息子の朝顔は順調に育っている。互いに絡まり合って蔓を太く伸ばしている子らがいっぱいいる。こっちだよ、と網の方に誘導するのだけれど、ここまで絡まり合った蔓を解く術もなく、もうそのままにしている。下手に折ったら大変だ。とにもかくにも、うまく網に辿り着いて上へ上へ伸びてくれるといい。
家人がいない間に一晩だけ預かって、と娘が言うので、お孫を預かることに。シングルマザーを私もやっていた、その頃、そんなふうに預かってくれる人がいなかった。あれはあれでしんどくも楽しかったけれど、でもやっぱり息抜きは必要だと思う。そういう次第でやってきたお孫、せっせと喋る。訥々と喋る。一生懸命たっぷりそうしてお喋りしてくれるのだけれども、その半分以上がばぁばには難解で、話の内容が半分以上理解できてなかったりする。なんだけども、最後に「約束ね!」って指切りげんまんすることになり、どうしよう意味分かってないんだけども、とばぁばどぎまぎしてる。いつかきっと「ばあばあの約束覚えてる?」とか確かめられてしまうに違いない。それまでには何とか、彼女のお喋りを理解できるようになりたいと思っている。 それにしても。息子がこてんと寝付くのに比べ、お孫は寝ない。ちっとも寝ない。一時間以上添い寝して、もう大丈夫かなとそっと私が起き出すと、少ししてとことこと私の作業部屋にやって来る。そしてまた、お喋りが始まる。この一晩で彼女は寝床と作業部屋とを何往復しただろう。 お孫のあの、眠くても寝たくない、という意志は幼かった頃の私にとてもよく似ているなと思う。眠くても寝たくない、いつの間にか眠くなくなる、という構図。何度も起き上がっては私にお喋りにくるお孫につきあいながら、ちょっと昔を懐かしく思い出す。私はいつも自分の部屋の出窓に布団を引っ張り上げ、空とお喋りしていた。と書くとまるで変な子のように映るに違いないが、でも、それが本当のことだ。毎晩のように空とお喋りし、東から西の空に動いてゆく星を数えて過ごした。お孫を見ているとそのことをありありと思い出す。 最後の最後、お孫はこう言った。「ねぇばあば、ママ、ちゃんとお迎え来てくれるよね?」。そうだよね、毎日毎晩、ママは必ず隣にいてくれるもんね。それがいないのだもの、不安だよね、そう思ったら、かわゆいなぁと抱きしめずにはいられなかった。「大丈夫、もうね、走って帰って来るヨ、大丈夫」と言うと、にっこり笑って、今度は大の字になって寝ている息子の隣に横になった。普段ワンコを怖がるのに、息子の近くにワンコが寝ているにも関わらずそこに横になり、お孫が言う、「ワンコが守ってくれるね」、だから私も言う、「うん、ワンコおっきいから守ってくれるよ」。 そうしてようやっと寝付いた頃には時計は午前2時過ぎ。おつかれさま、とお孫に心の裡で言ってみた。
ほどなく雨が降り出した今日、雨の中をワンコと散歩に出掛ける。明日家人が帰国する。父ちゃん帰って来るヨ、とワンコに言うのだが、ワンコは全く気に掛ける様子もなく、いつものように下ばかり見て匂いを嗅ぎ続け、草を食み続け、ねぇねぇこっち向いてよ、と私が言っても顔を上げる様子もなく、まぁつまり、いつものワンコだったということ。 そうして今夜も淡々と夜が更けゆく。 |
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