ささやかな日々

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2022年07月10日(日) 
早朝、空がピンク色に燃え上がった。ふわぁっと拡がるその色に辺り一面包まれた一瞬。慌ててカメラを構えシャッターを切る。振り返った時にはもう、ピンクの光は消えていた。一瞬にして雲に呑みこまれた光。いつもそうだ。一瞬一瞬、変化し続ける空と雲。一瞬として同じことはない。
たぶんそれはひとの人生にも言えて、一瞬たりとて同じことは、起こらない。その都度その都度の私たち自身の選択によって、道は作られてゆく。同じ道を歩くことはできない。死ぬ迄道を作り、歩き続ける。

朝顔が、何故か花が咲かない。一度二度咲いたきり、音沙汰がない。さすがに息子も気にしているらしく、「学校のはいっぱい咲いてるのにどうしたんだろう?」と首を傾げている。やっぱり灰かび病なのだろうか。これは、どう対処すべきなんだろう。アメリカンブルーは全部一度刈り込んでしまったけれど、朝顔だとそうもいかない。困った。
新苗の薔薇たちが連日のこの強烈な日差しに喘いでいる。どうにかしてやりたいがどうにもならない。すっかり草臥れた様子で立つ苗たちを、指でなぞりながら、耐えてね、と伝える。何とか秋まで踏ん張ってほしい。

正直、今日のことをあまり思い出せない。身体の痛みでうんうん唸っていたのは覚えているのだが、読もうと本を開いたところで意識が途切れた。それでも洗濯や掃除を切れ切れの意識の中でやっていたから、まぁ何とかなったのだろうとは思うが。
掃除をしながらふと本棚がおかしいなと見たら、息子の鬼滅の刃グッズがずらり、本棚に並べられていた。あまりにたくさん並んでいてびっくり。いつの間にこんなに集めたのだろう。そういえば映画に行く度、ガチャガチャやりたいと言い、鬼滅の刃のガチャガチャを探しては為していたけれども。こんなにも夢中になるものなんだなぁと改めて感心。ふと思い出す、そういえば昔私はマッチを集めていたっけなぁと。祖母や祖父に連れて行ってもらった店のマッチやら、自分がひとりで通うようになった珈琲屋のマッチやら。とにかく段ボール幾つも溜まるほどだった。そう省みると、ひとのことは言えないな、と苦笑が漏れる。
マッチ、といえば、マッチを置いている店なんて、もう見かけなくなった。私はあの、マッチ箱のデザインを眺めるのが好きだった。一個一個、趣向を凝らして作られた店のマッチ。それを見るだけで、店主の店へのイメージが手に取るように分かったものだった。私は特に、手触り感のあるマットな紙質が好みで、そういう紙を使って作られたマッチ箱が特にお気に入りだった。マッチのあの頭の部分の、独特な匂いも。あの収集したマッチは、独り暮らしをするにあたって実家を出る際、すべて処分してしまった。もったいないことをした、と今も思う。もう、集めたくても集められない品々、だった。

Sちゃんから宅急便が届く。中にはじゃがいもやたまねぎがごっそり詰まっている。Sちゃんのお友達が栽培したというそれらのお裾分け、だ。「今年はじゃがいもがふだんの3倍も収穫できたらしくて、あまってるんだってー」と言っていた。ありがたやありがたや。
夜、Sちゃんと少し話す。今回も外資系に就職したSちゃんなのだけれど、ちょっと勝手が違うらしい。縦割りで、トップの意見に否が言えない雰囲気が強烈にある、と言っていた。イエスしか言えないなんて、あほらしいよね、ほんと、と言う彼女に大きく私も頷く。そんなんなら、AIでも並べて置いておけばいいじゃないと思ってしまう。イエスしか言わないコンピューター相手に仕事すればいい。
そもそも、自分が正しい、と、自分の正しさに従わない者は悪或いは敵、というのは違うと思う。あなたの正義と私の正義が違うのは当たり前のこと。その違いを互いに認め合っていかなければ、新しいものは生まれはしない。成長は、ない。
月末にでもお茶しよう、と約束する。

明日はアートセラピー講師の日。さぁ頭を切り替えねば。


浅岡忍 HOMEMAIL

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