2002年07月06日(土) |
光と闇の間(はざま) |
夕刻 沈みゆく太陽 その増白により 兎の輪郭はさらに際立ち 朱鷺色に染め上げられた東雲からは 兎へと手が伸びる 北西の灰黒色の雲は次第に西へと回り込み 青黒から群青へと転ずる 西の空に輝きを増した一番星は木星かそれとも金星か
なぜ 流れる雲の消えゆく様を惜しむものはいないのか 誰も染め替えることはできぬまま
誰そ彼時 風に靡く大地 産毛はまだ 半身が水の中に浸かったまま 楕円の月を映す川の流れには もじりから大気の中へと飛び込むオイカワの黒い影が いくつも木霊する
なぜ 川の水の流れゆく様を愛おしむものはいない 誰も止めてしまうことなどできぬまま
朱鷺色の雲はいつの間にやら白いシーツのようになり 青かった空の中へ溶けてゆこうとしている 楕円の月を映す川は さらに漆黒の鏡に変じてゆく
生きている限り二度と巡り会うことのない 同じ川の水や同じ雲との出会い 見捨てられてしまう恐怖
生きている限りここに来れば出会うことのできる いつもと同じ川の流れや雲の流れ 見守られる安心
地に足をつけ 見回す限り出会うこともなく 風に靡く葉の海 風に流れゆく雲たちの流れ
生きる 生きている 生かされている しなければならないことと しておきたいことと いくつかを頭の中に思い浮かべてみる これらは楽しみにしていることなのか 泥沼のように広がる苦しみなのか
全部やらなくちゃ バランスを取りながら できないなら拘り抜いて 渡り歩きながら 答えを見つけようとしている
ひたすら穴掘りをしていればいいのか たくさん穴を掘ろう あっちにも穴が必要だ とりあえずこの穴からはじめよう やりやすいところからはじめよう
品がよくないのかな 形あるものを求めるなんて どうせ 海に流れ込むまで 目の前で水が流れているだけのことさ
光りと闇の間で ぼくをめぐる状況はいかに改善されたか 考えてみた 半径100m以内には誰もいない状況でね 漆黒に変ずる川面ともはや緑には見えない風に靡く 苗を見ながら深呼吸 3000m級の山に登った気分
ここで遊んでいていいんだという気持ちと これもありだなという気持ちと さらに上を目指してうごめいている 悩んでる 探してる
がむしゃらに飛びつく姿と 流れに身をまかせる様子から 満足して死の対極にある生を見つめ 何が生きることなのか どれかに決めなければならないのか
何かをしないと何も進まない 何もできあがりはしない 自分を取り巻く思いを目に見える形にしたかったのだけれど 結局どれもが本当でどれもがうそ
自分の欲しいものを欲しがっているだけ 探して見つからないのなら自分で創り出せばいい
なんで欲しいものがあるんだろう 自分の欲望と願いにうまくつきあえないことがある うまいつきあい方を教えてくれ どこを探してみても隠されてしまったようで見つからない
なぜ欲望が産まれるのだろう 何を求めているのだろう お金か名誉か地位か 真善美
どうせ何もかもなくなってしまうのに どう進めばいいのだろう 何もなくなってしまうことを知っているのに 欲望を持ち続けるのだから すごい欲望の固まりということになる だからこそ やる気も産まれてくるんだけれどね それを抱えて生きるべきなのかな やっぱり
欲望を抱えていることも 欲望を満たしても すべては無に帰することも 何もしないまま過ごしても 失敗に終わるにしても すべてを抱えて こんな風に考えてることをすべて捨て去ることも含めてね これがすべてがあってすべてが無
また再び闇の中から 光が洩れてくる
−−−−−−−−−−−−−−−− まだまだ 言い足りない
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