シンフォニーホールの向かい ふと立ち止まる 天上から雪だ 立ち止まったまま雪を眺める 肩に腕に雪が降り積もる 頭にも足の上にも 体が隠れ見えなくなるまで 降り積もる 降り積もる 上を見上げるとまるで小さなドームのよう 上空1500mの気温はマイナス12度 県南まで降りてきているらしい 雪の結晶構造は音波を吸収する 街頭の雑踏が消えてゆく 僕の周りの雪は白い繭のように まだ桃太郎大通りの街灯の火が透けて見える 雪の上に座りこんだまま このまま春を待とうか 背中に羽が生えてくる できたらビクトリアトリバネアゲハみたいな 羽がいいな 雪が降る 繭の上にも雪が降る 僕の魂の中の繭に雪が降る
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