やんの読書日記
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2003年04月14日(月) |
シェイクスピアを盗め! |
ゲアリー・グラックウッド 白水社
芝居の台本を盗んで、別の芝居にかける。と言う事があったらしい。 著作権がない時代なので、盗まれたら損、 盗めばおおもうけと言う事になる。少年ウィッジは孤児だったけれど、 速記術を学ばされてその能力のために身を売買されて、 シェイクスピアのハムレットを速記させられる羽目に・・ 速記をした手帳がなくなり、どたばたのなかで ウィッジは少年役者の見習いになる。 台本を盗もうとしながらも、どうもそれができない彼。 知らないうちに宮内庁一座の人々と心を通わせていくところが 読んでいてなんだかうれしい。 それは孤児だった彼が、友達家族、信頼といった人としての愛情に 目覚めていくからだと思う。 特に同じ年頃のサンダーやジュリアンとの駈け引きがさわやかだ。 サンダーに「友達だろ?」と初めて言われてとまどっていた彼も その意味に気づいていく。 女である事を隠して役者になりたがったジュリアンが 役者を追われたときに思った同情心。 そう言うものがウィッジの成長を物語っているようだ。 続編「シェイクスピアを代筆せよ!」を先に読んでしまった。 この後にサンダーがペストで死んでしまうのがわかっているだけに、 ウィッジの出会いが 印象的に思えてしまった。
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