やんの読書日記
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ローズマリ・サトクリフ作 ほるぷ出版
ケルトの原典。アイルランド神話の中心クーフリンの物語。 クーフリンといえばアイルランドの戦争「牛捕り」が有名で、 サトクリフのオリジナルにもところどころ出てくる。 太陽の神、槍のルガの息子クーフリンは力と知恵の英雄。 クランの猛犬という名前の通り、猛犬を素手で殺してしまうほど。 牛捕りで、クーフリンをわなにかけた女王メーブの書き方が、 闇の女王ボーディッカと王のしるしのリアサンにそっくりで驚いた。 完全に配偶者である王をないがしろにしているからだ。 同じアイルランドでも、メーブのいるコノハトは女系社会。 クーフリンのアルスターは男系社会。というのがよくわかる。 彼の武器は女戦死アイフェから譲り受けた魔法の槍ゲイ・ボルグ。 危険な槍で殺してしまったのは、親友と実の息子の二人だけだった というのが運命的で悲しい。この部分が、アーサー王によく似ていて、 何か関連がありそうな気がする。 自分の名前にかけて、犬を食べないという禁忌を守り通したクーフリンが 最期のときになって、犬の肉を魔女にすすめられるままに食べてしまう。 渡し場で血のついたものを洗う老婆。それがケルトの英雄の死を現す。 これを見たらどんな英雄でも運命は変える事ができない。 ケルトのどんな魔法も英雄の死を覆すことができない。 悲しいのに立派ですがすがしい、 それがケルトの戦士なのだろう。
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