やんの読書日記
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2003年05月01日(木) |
十二国記 月の影影の海 |
小野不由美 講談社X文庫ホワイトハート
スケールの大きい異界ファンタジーだ 十二国の王は麒麟によって決められる その麒麟は王に忠誠を尽くすのだけれど 王が暗愚だと国は滅んで麒麟も死ぬ 麒麟が死ねば王も死す 十二ある国はお互いを蹂躙してはいけない そうなれば天命にそむいたことになり その国は滅ぶ。 どこかの国の誰かに聞かせたい言葉だ。 中国的な儒教精神が息づいている物語だけれど、主人公の陽子は、現代の女子高生 異界の子どもに生まれるはずだったのに 触という変動によって倭国(日本)に流されて、現代の日本人の子どもとして生まれ育ってしまった。 十二国のなかの慶国の王として麒麟が選んだのか陽子だったために物語が始まる。いきなり異界につれてこられて妖魔におそわれ、逃げながら自分の真実の姿を知る陽子。 慶国の王はいつわりの王であるため、国が滅びかけている。 麒麟のケイキを捕らえて、真の王である陽子をもとらえようとする隣国の王。そこには天命にそむいて滅び行く自分の道連れを陽子に仕立てた、浅はかでおろかな人の姿がある。 陽子自身も、もとの世界に帰りたい一心で、自分が王である事から逃れようとして浅はかな行動をとってしまう。 天命と徳に彩られて、栄えるはずの国が滅び行く。それはいったいなぜか。 この先の続編が楽しみだ。
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