やんの読書日記
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2003年08月12日(火) |
ウィリアム・モリスとアーツ・アンドクラフツ運動 |
リンダ・パリー著 高野瑤子訳 千毯館
ウイリアム・モリスが手がけた 壁紙、絨毯、カーテンなどのデザインが 148点。木版捺染という版画のような 方法で染めた壁紙がすばらしい。 バックの柳の葉、前面の花、鳥などが 微細な連続模様になっているのだが 手作業で木版を彫り、刷って、 一枚の壁紙に仕上げるのだという。 多色刷りだから版が何枚もあるだろうに 現代のコンピューター印刷と同じくらい 精密にできていて驚く。 アーツアンドクラフツとは、大量生産の 始まったイギリスで、技術ばかりが先行して芸術性のないものが増えたことを反省して デザイナーや職人、業者が一体となって はじめた芸術復興だ。 手作りのすばらしさ、本物のあじわいが この本の中に現れている。
モリスの著書「ユートピアだより」にも 大量生産、大量消費に対する憂いの声が 老人の会話に出てきている。 資本主義社会の行き着くところ モリスが理想としたユートピアは 職人が自分の楽しみのために仕事をできる そういう社会だ。 経済的に何の心配もなければ こういう仕事をしてみたいとは思うが この資本主義優勢の現代社会では 夢のまた夢だろう
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