やんの読書日記
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2004年01月07日(水) 旅をする木

星野道夫編
文藝春秋

星野氏がカメラマンだということは知っていたが
随筆がこんなにすばらしいことを初めて知った
旅をする木というのは、アラスカの南東部の暖流が寄せる
比較的暖かい森林地方にある針葉樹のことだ
アラスカの高山から流れ出す雪解け水で
河岸が侵食され、生えていた樹木が倒れて押し流され
アラスカの北極圏の海岸にまで流される
そういう木の旅を大きな時の流れとして星野氏はとらえている。
短編の随筆集で、一番興味深かったのが
トーテムポールの発見談と
アリューシャン列島からわたってきたモンゴロイドの話だ。
トーテムを作った人々は
氷河期にシベリアからアリューシャン列島を
歩いて渡ってきてアラスカやカナダに定住したらしい
日本人にもよく似た顔つき
鯨をとり、自然を崇拝する人々は
どこかでつながっていると思っていた私は
この章を読んで、やっぱり、という確信にとらわれた。
氷河期からしてみればたかが2000年で
めまぐるしく変わってしまった人と地球を、
憂えながら自然のなりゆきを大きな心で見ている
星野氏の哲学が感じられて
胸がどきどきした。


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