やんの読書日記
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上橋菜穂子作 二木真希子絵 偕成社
精霊の守人、新ヨゴ皇国の皇太子チャグムを救った 女用心棒バルサが自分の養父ジグロの名誉回復のために 25年間離れていた故郷のカンバル王国に戻る
新ヨゴ皇国からカンバル王国へ抜ける洞窟に中で彼女を出迎えたものが 最後まで誰なのかわからない。 権力と富を得るための陰謀をめぐらすジグロの弟ユグロ。 はじめはユグロの陰謀にただ真正面に対して 戦うバルサかと思ったら、大違いの展開が待っていた。
陰謀が渦巻くなかで、 良心をもった人々に助けられるバルサ 殺された父の妹、ユーカ叔母、ジグロの甥と姪に当たるカッサとジナ。 そういう人たちとのかかわりがとても暖かくて人間的だ 特に闇の中で視界のきく小さな人々 この人々の存在なくしてこの物語は語れないという感じだ。
最後にユグロの陰謀は打ち砕かれ 無念に死んでいったジグロの魂はバルサによって弔われるのだが 養父ジグロが自分育ててくれた裏で 自分(バルサ)さえいなければという憎しみが あったという感情に気づくバルサの桎梏が心に響く。 バルサの心は癒されていないのかも知れない。
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