やんの読書日記
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井上靖 新潮文庫
モンゴルの英雄チンギス・ハーン 子どものころの名は鉄木真 母が敵方に略奪されたときにできた子であるために 自分が本当に蒼き狼の子孫であるか 生涯悩み続け それに打ち勝つために 勇気を示し、野心を持ち 結果として大帝国の祖として強大になっていく。
目的のために弟も殺し 実の長男を疑い、母を疎んじ 側室の子を捨ててしまう。 冷徹な男のような印象をうけるが 老齢にさしかかり、側室の死を迎えて 血族の愛を知るようになる。 自分と同じ運命を背負った長男ジュチの死を 知ったチンギス・ハーンの嘆き 生涯背負った、自分の出生のなぞを 振り払うことができなかったのに違いない 名実ともに蒼き狼であると自覚していたにもかかわらず・・・・
全編にわたる緊張感。簡潔で甘えのない会話 これはチンギス・ハーンが常に持っていた緊迫感だと思う
なぜモンゴルが強大になったか 精神的な理由だけでなく 実務的な部分で納得できるおもしろい物語だった
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