やんの読書日記
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2004年05月20日(木) 蒼き狼

井上靖
新潮文庫

モンゴルの英雄チンギス・ハーン
子どものころの名は鉄木真
母が敵方に略奪されたときにできた子であるために
自分が本当に蒼き狼の子孫であるか
生涯悩み続け
それに打ち勝つために
勇気を示し、野心を持ち
結果として大帝国の祖として強大になっていく。

目的のために弟も殺し
実の長男を疑い、母を疎んじ
側室の子を捨ててしまう。
冷徹な男のような印象をうけるが
老齢にさしかかり、側室の死を迎えて
血族の愛を知るようになる。
自分と同じ運命を背負った長男ジュチの死を
知ったチンギス・ハーンの嘆き
生涯背負った、自分の出生のなぞを
振り払うことができなかったのに違いない
名実ともに蒼き狼であると自覚していたにもかかわらず・・・・

全編にわたる緊張感。簡潔で甘えのない会話
これはチンギス・ハーンが常に持っていた緊迫感だと思う

なぜモンゴルが強大になったか
精神的な理由だけでなく
実務的な部分で納得できるおもしろい物語だった


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