やんの読書日記
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2004年08月17日(火) 車輪の下

ヘルマン・ヘッセ作
新潮文庫

ヘッセの少年時代をハンスとヘルマンという二人の少年を
借りて描いた作品
初めて読んだのは中学生のとき
そのあと何度も読んでいるが
久しぶりに読んでみて新しい感動があった。

親の期待を一身に受けて神学校を受験し、2番で合格。
しかし、神学校の息の詰まるような規則や
友人関係に疲れ、悪友の感化によって脱落していく少年。
故郷に戻っても彼の居場所はなかった。
行き着くところは死。
そういう筋書きはいつ読んでも同じなのに
若いころに読んだときは、周囲の好奇の目
過剰な期待に押しつぶされて彼は死んだと思って憤りを感じた。
その間にながれるヘッセ独特の詩的な描写に気付かなかったのは
どうしてだろう。故郷の川、森、花神学校の湖、
そういうものが生きて流れているのだ。

彼はなぜ故郷で自分を見つめることなく死んでしまったか。
絶望して泣き崩れる彼の心が痛いほど伝わってくる。
若いころ、自殺だとばかり思っていたが今では
そうではなかったように思える。
ほんの少しの休息を川に求めて、そのまま落ちてしまった。
事故なのだ。本当はヘッセはここで生き方を考えていたはずだ。

だからこそ風景描写がすばらしいのだと思う。


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