やんの読書日記
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新藤悦子作 こみねゆら絵 日本ヴォーグ社
空とぶじゅうたんと言えばアラビアン・ナイト。 ペルシャじゅうたんのお話だと子どもの頃から思っていたが、 じゅうたんとは西アジアの国のあらゆるところで 女性が職業として、織っているものだというのが この物語を読んで少し分かったような気がする。
部屋一面を敷き詰めるのとは違う、コンパクトで ふわっと投げると本当に空をとぶような軽い織物 じゅうたんの模様一つ一つに意味があり 織った人の気持ちが込められているということが 独立した5つのお話の中ににじみ出ている
好きな相手の言葉から紬ぎだされた糸でじゅうたんを織る娘のよろこび 結婚相手の顔も知らないで嫁がねばらない娘の悲しみ 子どもの頃のじゅうたん工房の思い出 砂漠の旅で出合った不思議な少女 自分をじゅうたんにしてくれと願ってじゅうたんになった若者を慕って、 300年生き長らえた少女の哀しみ
それぞれのお話がじゅうたんを織る人の気持ちにつながっていて 挿絵の不思議で妖しい雰囲気と一体になって 魔法の世界に誘い込まれてしまいそうだ
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