やんの読書日記
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デボラ・エリス作 もりうちすみこ訳 さ・え・ら書房
タリバン政権下のアフガンからあふれ出た難民が 国境を越えてパキスタンに流入する。 そういうシーンはTVでもよく見て知っているつもりだった タリバンは女性蔑視の組織 女に教育を与えず、仕事も与えない 女は悲惨な戦争の犠牲者、哀れな人。 そういう感覚で見ていたが この本を読んで考えが変った。
この本に出てくる女性は そんな組織の中で生きていたにもかかわらず活発で明るい。 主人公の少女ショーツィアはフランスへ行くためには 何が何でもお金をためようと、キャンプ生活をあとにして 1人で男の子として生きていくのだけれど、その生き方が 前向きで明るい。どんなつらい仕事、汚い仕事でも 着実にやりこなし、夢に近づこうと努力する姿は 私の心を暖かくしてくれた。
ぼろを下げて物乞いする女たち、ごみあさりをする子どもたち そんな極限の者と同じ環境にいて、ショーツィアが他の者と 違って見えるのは、やはりフランスへ行きたい 家族にまた会いたい、そういう希望があるためだと思う。
二度と帰らないと誓って出てきたキャンプに連れ戻され またよそへ出て行こうとする日。 アフガンでの援助活動に 参加するキャンプの人たちと合流しようと 決意したショーツィアの姿は輝いて見えた。
戦乱の地でも希望を失わない人がいるということを 知って感動した。 平和な日本で小さなことに希望を失っている人たちに 知って欲しい少女の姿だ。
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