Shigehisa Hashimoto の偏見日記
塵も積もれば・・・かな?|それまで|これから
| 2002年09月23日(月) |
アニメ思い出館 第2回 「逆転 イッパツマン」 の巻 |
足掛け8年にもわたって放映された人気作品「タイムボカンシリーズ」。今回はその中でも一際評価の高い「逆転 イッパツマン」を取り上げたいと思います。語るに尽くさぬ魅力溢れるこの作品、果たして上手く書けるでしょうか。少々不安を感じつつ、第2回のはじまりはじまり・・・
簡単あらすじ 時代を超えたレンタルリース業を経営する業界�癸韻離織ぅ爛蝓璽梗劼鬚△亮蠅海亮蠅破験欧垢覘癸欧離轡礇譽魁璽戰蝓璽梗辧�シャレコーべ社のクリーン悪トリオがタイムリース社のラン達を付け狙うとき、どこからともなく現れる白き影。「鳥だ!飛行機だ!いやタケチャンマンだ!」いやいや違う、この男こそ正義の使者イッパツマンだ。逆転王を駆り敢然と立ち向かうイッパツマンの勇姿、ここにあり!2つの企業の社運を賭けた一大決戦が始まる。
個人的解説 「逆転 イッパツマン」はタイムボカンシリーズの6作目、82年の作品である。ボカンのシリーズ終了が83年の9月だから時期的には終りがけの部類に入る。だが今作にはそんな暗い影を微塵にも感じさせないパワーに満ち溢れている。スタッフ・キャスト共、今までに培ってきたノウハウが開花した感がある。知名度では「ヤッターマン」に大きく劣るものの、熱烈なボカンファンには「イッパツマン」を最高傑作として推す人も多い。かくいう私もその1人である。
何故それほどまでに支持されるのだろうか。まずをもってストーリーがしっかりと練りこんで作られている事が理由のひとつとして挙げられるだろう。タイムボカンなのだからもちろん基本はギャグストーリーなのであるが、物語が中盤にさしかかったあたりから徐々にシリアス傾向へと変化を見せ始める。それが頂点に達するのがなんと三悪側がイッパツマンを倒してしまう、いや正確には倒したつもりになってしまう「シリーズ初 悪が勝つ」の回である。このシリアステイストは後半以降も続くこととなり、特に最終回間際は息をつかせぬ怒涛の展開で見るものを魅了させた。これはシリーズ構成を手掛けた小山高生氏の手腕によるところが大きいといえるだろう。「はじめはコミカル、終盤はシリアス」という展開は同じく小山氏がチーフライターを務めた「魔神英雄伝ワタル」にも引き継がれる事になる。 またキャラクターでははじめて善玉のライバルらしいライバルとして登場した隠球四郎の存在も忘れられない。イッパツマンを倒すことだけを生きがいにひたすら邁進する彼の姿はその悲劇的な結末とあわせて作品をよりシリアスな香りを漂わせることに貢献していた。三悪がいくら「打倒イッパツマン」を掲げてもギャグにしかならないのとは好対照である。とにかく作品全体がシリアスな雰囲気に包まれているのが他のボカンシリーズと一線を画しているところである。
だからといってボカンシリーズの生命線であるギャグをおざなりにしている訳ではない。今作は企業間の争いをテーマにしているだけあって三悪が演じるサラリーマンの悲哀の描写はうら寂しくもとても冴え渡った味を見せることになった。コスイネンは副業として立ち食いそば屋を経営しているし、失敗するごとに大ボスに給料カット、ボーナス抜きとどやされるのはまさしく三悪のキャラクターにぴたりと当てはまって笑いの効果を抜群にしていた。「人間辞めて何になる?」のくだりは三悪を担当した声優の表現力の巧さも手伝って最高の出来に仕上がっている。一発ギャグも「おろか、ブ」や「ビックリたまげたもんざえもん」など笑えるものぞろい。なにより三悪がしくじったりボケたりする度に「シビビーン」と飛び跳ねるのが軽快でテンポが良かった。文字で表現するといまいち面白さが解らないかもしれないが実際の映像作品ではこれらのギャグを絶妙なタイミングで出してくるからたまらない。
作品の魅力はまだまだある。ヒロイン・放夢ランの一途さ。最終回は彼女のためにあったといっても過言ではない。第四の敵、ミンミンの正体も見どころのひとつだ。また善玉側のメカ「逆転王」と「三冠王」のデザインは大河原邦男が担当。その重厚な存在感が絶品であった。
キャスト面について。シリーズ皆勤賞の三悪は最早大安定。それどころかさらに磨きのかかった掛け合いを演じてくれる。前述したように窓際サラリーマンの悲壮感を実に完璧に表現しきったと言えるだろう。この3人がシリーズに与えた功績は本当に計り知れないものがある。特にコスイネン役の八奈見乗児のノリの良さには驚嘆してしまう。 主人公の豪速九役にはナレーターとして今までシリーズを陰で支え続けた富山敬が満を持しての登板。シャイで大人っぽい豪をとても好演していた。入れ替わりにナレーションは鈴置洋孝が担当。独特の甘い声で富山氏の抜けた穴を違和感なく埋めることに成功している。放夢ラン役に選ばれた原えりこはその初々しい魅力を存分に発揮しているし、少々生意気なハル坊役につかせのりこはまさにうってつけ。山本正之は今までの二枚目役とは違うロボットの役を得て水を得た魚の如く強烈な個性を発揮している(余談だが同氏が歌うEDソング「シビビン・ラプソディー」は屈指の名曲である。全体的に良い曲ぞろいのタイムボカン・ソングのなかでも1,2を争うほどの出来として支持されることになる)。他にもコンコルドーの肝付兼太、ミンミンの土井美加や後半登場する今市を演じた千葉繁など本当に実力者ぞろい。翻って考えてみると良いアニメというものは必ず良い声の役者(ここではあえて声優と呼ばない事にする)が揃っているという事が分かる。
「逆転 イッパツマン」は緻密なストーリーと強烈なギャグが同居した不思議な作品である。このシリーズの集大成的作品としてこれからも人々に語られ続けてゆくに違いない、最高のエンターテインメントなのであった。<第2回 終わり>
橋本繁久
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