Shigehisa Hashimoto の偏見日記
塵も積もれば・・・かな?それまでこれから


2002年10月13日(日) アニメソング阿鼻叫喚 ドラえもん編

さて、アニメソング紹介の第二弾です。今回はドラえもんを取り上げようと前々から決めておりました。先日書いたようにTV版ドラえもんのOP・EDの改悪に対して抗議の意を表したいからです。思うにまかせて書いてみることにしましょう。

○ドラえもんの歌
作詞/楠部工 作・編曲/菊池俊輔 歌/大杉久美子(山野さと子)

説明不要の超有名曲である。ドラえもんを観ない人でも「ドラえもんの歌」は知っているという人も多いだろう。曲の認知度の高さではサザエさんと双璧だと思われる。

まずイントロからしてハッとさせられる。なんと形容すべきか解らない雰囲気、明確なるイメージがわきにくい不思議な印象を感じる。そして太鼓かドラムか知らないが(音楽の知識がなくて申し訳ない)「ドンドン」とやって本題へと入ってゆくのだが私はかねてよりこの「ドンドン」が気になって仕様がなかった。「ドンドン」には掴みどころないイントロを収束する感じが見受けられ、なんとも歯切れよい。細かいところではあるが、かなり好きなポイントである。

歌詞の方はとても基本形である。ドラえもんがかなえてくれる夢、希望に対して最大級の賛辞を表すという形式。オーソドックスであるが素直な感じがよい。
歌手は山野さと子さんのハキハキとした歌い方もいいが個人的にはやはり初代・大杉久美子さんの素朴さが大好きである。大杉さんの歌唱は歌詞の世界観と寸分違わぬことなく合致し、完璧に符合している。表現力の上手さが本当に感じ取れる。素朴な歌い方の偉大さがひしひしと伝わってくる一瞬である。

この名曲が後年、劇場版で吉川ひなのによって歌われたことに憤慨した人がどれだけいただろうか。キャスティングした人は何を考えているのだろう。ドラえもんが好きなのと、「ドラえもんの歌」が上手く歌えることは全くの別物ではないか。まして今回の改変で現れた謎のグループは一体なんだというのだ。プロデュ―サーはまじめに考えて選出したのか。意図が全く読み取れない。アレンジも最低。こんなものを垂れ流すのはわざわざ作品を貶めているようなものだ。即刻やめてもらいたい。

○ぼくドラえもん
作詞/藤子不二雄(藤子・F・不二雄) 作・編曲/菊池俊輔 歌/大山のぶ代・こおろぎ'73

強烈な勢いが感じ取れる曲である。曲として威勢がよく、元気があり作品を鼓舞している印象がある。なんともリズムよく進んでいき心地よい。これぞギャグアニメの主題歌!といった感じである。(ドラえもんはもともとはギャグ漫画である)

歌詞はほとんどハッタリのようなものであるがこの曲にはそれがふさわしいのであろう。因みについ最近までTVでアレンジ版の「ぼくドラえもん2112」が流れていたが個人的にはオリジナルの方が勢いがあって好きである。

○青い空はポケットさ
作詞/高田ひろお 作・編曲/菊池俊輔 歌/大杉久美子

なんと素直な歌であろうか。そう感じたのも当然、子大杉久美子さんが歌っているのだ。なんと優しい歌い方であろう。汚れなき清らかな歌声とでもいうべきか。

「ぼくたち地球人」にも言えることだがこの曲は完全に性善説の世界というか、人間への嫌悪なき愛情が込められていると思う。歌詞は情景を表現しているだけなのだが、メロディーの麗しさでそのように感じてしまうのだ。くさくさ考えたりせずに生きてごらんなさい、と諭されているような気分になる。もちろん聞いたあとは爽快である。

○丸顔の歌
作詞/高田ひろお 作・編曲/菊池俊輔 歌/大山のぶ代

「ぼくドラえもん」と同じく大山のぶ代が歌っている。この曲についてはよくメロディーはいいけど歌手が音痴だからなどと言って敬遠する人がいるが私はそうは思わない。大山の歌唱は決して上手いとは言えないかもしれないが、極めて曲にあった歌い方をしていると思う。歌は全て美しければ良いというものではない。大山には大山にしか出せない味がちゃんと存在しているのである。

メロディー・歌詞はともに素朴で、郷愁を感じること間違いなし。素直に生きることの大切さを飾らずに表現している。

○ぼくたち地球人 
作詞/みなもとたかし 作・編曲/菊池俊輔 歌/堀江美都子

前にも書いたが全てのドラえもんソングのなかで文句なしに一番好きな曲である。この曲は私が一番熱心にドラえもんを見ていたときに流れていたので思い入れも一入。どこまでも綺麗な旋律、朗らかな歌詞、堀江美都子の伸びやかな歌唱、どれを取っても完璧なまでに流麗で余分なものが全くない。時間的に短い歌だが物足りなさを微塵も感じさせない。聴いているだけで明るい気持ちになれ、明日への活力を湧かせてくれる。まさに見事としか言いようがない。この曲に対してごちゃごちゃ言うこと自体おこがましい気持ちさえしてくる。

余談だが小学校の子ども会で手話教室があったとき、「手話で歌を歌おう」という企画があったのだがその折に素材として使われたのがこの曲であった。こんな小さなエピソードも覚えているほど私はこの曲が大好きなのである。

○心をゆらして
作詞/武田鉄矢 作・編曲/菊池俊輔 うた/岩渕まこと

これは一応番外編ということで。本来この曲は劇場版「のび太の宇宙開拓史」の挿入歌(実質主題歌だが)であるが、大変好評であったためTVシリーズでもここぞという場面に使われることになったといういわくがついているのである。作詞は武田鉄也が担当。この曲に限らず、80年代の劇場版ドラえもんのEDはほとんど武田が受け持っている。歌詞の出だしからして聴衆を引き込む上手さがあり、気がつくと曲の世界観にどっぷり浸かってしまっているということが往々にしてある。流石といえよう。

メロディーがやや感情過多という感じが否めなくもないが、作曲・菊地俊輔の上手いところはその情緒的限界のラインを超えそうで超えないところにある。本曲も曲としての理性がギリギリの線で保たれている。だからこそ名曲として数々の人から讃えられているのである。

○おれはジャイアンさまだ! 
作詞/たてかべ和也 作・編曲/菊池俊輔 歌/たてかべ和也

これもある意味番外編か。この曲はこと知名度という点においては「ドラえもんの歌」に引けを取らないものがある。曲の内容自体も大変インパクトがあり(特に間奏のときに流れる独白「ぬかみそ云々」には笑ってしまう)一度聴いたら忘れられない凄みがある。作詞がジャイアン役のたてかべ氏そのものが担当というのも面白い。


総括
文体で分かると思うが私はドラえもん関係の歌となると、ほとんど手放しで褒めたいぐらいに好きなものばかりである。製作された曲の大半が名曲と呼んで遜色ないものばかりだと思うし、実際数多の人たちがそのように支持してきたはずである。だからこそ、今期の改変の酷さは私にとっては耐えがたいものがある。最早ドラえもんを観ることは滅多にない私が言うのもなんであるが製作側は視聴者のことを考えているのだろうか。「ドラえもん」の世界観を大事にしようとする気持ちがあるのだろうか。私が見る限りそんな思いは微塵にも感じられない。誠に残念な話である。どうか、過去を無碍に扱ったりせずに、そこから得た物を大切にしていって欲しい。親子で見る機会の多い「ドラえもん」ならなおさらのことである。


橋本繁久

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