Shigehisa Hashimoto の偏見日記
塵も積もれば・・・かな?それまでこれから


2002年10月21日(月) 野を分けて飛びも飛んだり球の跡

今年のプロ野球も全日程が終了した。我が愛すべき中日ドラゴンズは残念ながら優勝することが出来なかったが、個人的には結構楽しめたシーズンであった。福留・川上・朝倉ら若手の台頭、立浪の踏ん張り、新加入・谷繁の大活躍、などなど収穫も多かった。なにより嬉しかったのは監督が代わったことである。思えば私は前監督の粘着固執型イライラ野球に長らく辟易としていたのだった。去年の暮れ、かの男が中日を去り阪神の指揮を執ることが確定した折には悲しみと憎しみがない交ぜになった複雑な気持ちになったが、いざシーズンが始まると山田新監督の肩肘張らないのびのびとした野球理論に親しみを感じ、前監督のことなどたちまちのうちにどうでもよくなった。就任1年目の上、けが人や不調者続出の今シーズンを3位で終えることが出来たのだから山田さんは結構名監督になるかもしれない。今後に多いに期待したいものである。

タイトル争いを巡る醜聞は、これは賛否両論あって仕方ないし、また然るべきである、と私は考えている。福留が最終数試合に打席に立たずして首位打者のタイトルを獲ったことは「タイトルを獲るための当然の措置」と称えられても「最後まで正々堂々と勝負しなかった卑怯者」と貶されてもおかしくはないだろう。複雑な要因が絡んでいる以上、どちらかの意見に断じられるべきではない。因みに私は無論中日ファンであるから、福留がタイトルを獲得したこと自体については嬉しい事に間違いないが、一方で巨人・松井の三冠王獲得という快挙を肉眼で見てみたかったという気持ちもあるのも確かなのである。とにかく球史には「2002年度 首位打者・福留孝介」の事実が残る。福留はこの名誉ある賞に胸を張っていいし、あるいは非難されたとしても仕方がない。野球のタイトルとはもとよりこのような性質を持ったものなのである。

また中日以外のことに目を向けると、やはりホームランを55本打った西武・カブレラのところにゆきつく。しかしこれは良い意味ではない。私はこの記録を快く思っていない人間である。と言うのも、今回の記録はカブレラが凄いというよりはパリーグのピッチャーがふがいないだけだからだと考えているからである。私が見る限り、カブレラのホームランはひたすらに力任せであって「技」の要素がない。1998年の米・大リーグでホームラン新記録を作ったマグワイアに酷似していると思う。すなわちバッティングの穴はいくらでもあるのに投手がそこを上手くつけなかっただけのように思えるのである。一方、去年55本のホームランを打った近鉄・ローズは「力」と「技」を兼ねそえている印象があり、こちらは同じく98年のサミー・ソーサを彷彿とさせる。記録が破られるとしたならば、ローズのような選手にやって欲しかったから、今回また55本止まりだったのは割合幸いであったと言えよう。

もう少しすれば日本シリーズが始まる。それが終われば今度は白熱のストーブリーグが待っている。FA選手はどう動くか、ドラフトはいかような展開を見せるか。DREAM・AGAIN、テスト入団選手はどうなのか、はたまた監督人事は、などなど話題が尽きることはない。野球ファンであることを幸せに思いつつ、新たなプレイボールの幕が下りることを心待ちにしたい。


橋本繁久

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