着々と着物を解くなか ひょんなことから 職人修行をする展開になった 事の起こりはソーイングバスケットから 一部材料は代わりつつ 未だ大手通販などでの需要はあり メーカーにいる友人から わたしが売っていれば 収入源になったのにと言われた
せっかくの申し出を うまく繋げられなかったのは いちから職人さんの手作りという 今どき貴重な品なのに 使っている材料がケミカルで 同じものが大量にあるという そのアンバランスさを 自分の中でうまくまとめられなかったせい
最初に作られた昭和の時代に 大衆に歓迎された理由は 想像の域を出ないけれど 洋服を着ることが当たり前になり ミシンの家庭への普及も相まって 欧風の香りのする裁縫箱が 家庭の主婦の日常に ちょっとした夢を与えたんだろうと思う
メーカーは外国の製品をモデルに いかにそれに似せてコストを抑え 大量にできるようにするかが重要で 買う側も 誰かが持っている同じものを買うことに なんの躊躇もなく それはあらゆる製品に共通していたんだろう
当時の売れた理由が失われている今 同じ物を売ろうとすれば 単にレトロで懐かしいものという括りしかない せっかく手作りされているのなら 今の時代に相応しく 例えば自然素材で 例えば多様な好みに合わせた ひとつひとつ違うものということで 売ることができないかと思う
オリジナルを真似ることから始まった 本当の国産オリジナルのソーイングバスケット 新たな価値を構築するという観点から そんな商品を生み出して行けないものだろうか 相変わらず需要がある流れとは別に もしそれをするなら まずは現存の技術を習得することから始まる
今や全工程を製作できるのは たったひとりの職人さんしか残っていない 特に伝統の技とかでもないから いつか消えてしまう運命にある ならばわたしがと思う程 使命感にかられる訳ではないけれど 着物リメイクの可能性のひとつとして 方向を探ってみたい
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