どちらかと言えば ジャンクなものが多かった展示会 ふと通りかかって看板を眼にしてとか 新聞の情報欄を切り抜いてとか 骨董という言葉に惹かれ ひとりでぶらっとやってくる 男性のお客さんが印象的だった
最終日の今日は 今回のきっかけとなったSさんが 一日いてくれて値引きに応じた 押されるとどんどんサービスしてしまい 後で落ち込むことの繰り返しで しまいにはもう言わないでくれと 泣きが入る始末
あまりにも多岐に渡る分野の中で それぞれの極みを ひとつずつ持つのが夢という彼は 着物なら江戸縮緬だったはずなのに それと知らず持っていた襦袢を 5千円で売ってしまい 会うひとごとに悔しさを訴えていた
けれどその一方で 銀の対のかんざしに 千円の値段をつけようとしたり 思い入れのアンバランスさは 誰もそれぞれ持っていて そんな個性が古物を通じて 表れるのが何とも楽しかった
点数が少なかったリメイク服は いろんな人に試着してもらい やはり着る人の個性によって 魔法のように雰囲気が変わった たったひとつを選ぶひとりのひとは 約束されていたみたいな結びつきだった
そういう瞬間に立ち会えることは 作り手冥利に尽きて 物を仲介することを 遥かに上回る喜びを与えてくれる 次の展示会を急ぐ声や ともかくお店を始めるという意見を聴きながら 自分の中のバランスを計りなおしていた
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