ふたりで入る予定をしていた売り場 よりによっての大雪で コウノピアに到着するまで 一時間を要した いよいよこれからこの地方は 長い長い冬に突入するのだ
バスの予約もなく静かな売り場で 在庫を堂々と整理したり 商品を入れる袋にスタンプを押したり 新しく入荷した素敵なカレンダーの ディスプレイを工夫したりと ふたりでいるから気楽に仕事がこなせる
交代で30分ずつお昼の休憩をとろうと 暖かいホールへ行くと ちょうど田んぼの中の人工巣塔から コウノトリが一羽飛んで来て アマチュアカメラマンたちの眼の前をかすめ 公開ケージに舞い降りた
放鳥されたコウノトリは 他の飛べない仲間よりもひと回り大きく見え 羽の色のコントラストもくっきりと美しい シャーベット状の水の中に口ばしを突っ込み まるで観客を意識しない仲間の中で ずうっと首を上げたまま 緊張を持続した面持ちで しきりにこちらを見ていた
商品を郵送して欲しいとの電話があり 代金の合計と振込み口座の案内をした 協会や館との兼ね合いと こちらが手一杯なのもあって 積極的に宣伝はしていない通信販売 けれど本当は どんな遠くへも運ばれて行くべき商品たち
製造業者サイドで ネット販売しているものもいくつかあるが 心を込めて手作りされた 赤ちゃんを運んでいる小さなコウノトリなんかを 訪れた記念とかではなく 特別の想いとともに必要としている人たちに 届けることができたらいいのだろうけれど
昼すぎ 3羽が出石方向へと飛んで行ったと聞いた 放鳥されたコウノトリは 少しずつ行動範囲を広げ始めている
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