寝ても覚めても身体が痛く 夕べはなにやら 唸っていたらしい 小さい頃具合の悪い時の夢は決まって 周囲の空間がぐにゃぐにゃと 変形するだけだったけれど 大人になってからはもう見ない
その代わりの夢は どこかの真新しい寮にいて 人気のない深夜の廊下を 自分が行くべき部屋の番号を 必死に思い出そうとしながら 何の手掛かりも見つけられずに 彷徨っているのだった
或いは 夢の中の恋人に連れられて 初めてその人の家へ行く なのに 何のトキメキもなく そこから新しい事が始まる予感もない ただそういう場所 という事実だけがある
或いは 両親と子ども達と どこかへ引っ越して 初めて迎える夜に すやすやと眠る やつらの寝顔を見てほっとし なのに落ち着き所のない 自分を感じている
そうして最後に 自分の身体が今眠っている 細長い家の中の 雑多なモノに埋もれた空間を 強く求めながら戻ってきたのだった
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