ゆりゆり日記
ただ知ること
過去にあつめたカケラで出来る絵は
その瞬間瞬間ごと
いつも完璧だということ
そうして明日を未来を生きていく

2006年03月21日(火) 千年の巨木

朝になって
随分身体が軽くなり
出石での講演会に出かけた
人が集まらないのではと
心配する友人の縁だったのだが
会場はいっぱいで
とても雰囲気のいい集まりだった

その流れで
知人宅を訪問することになり
初めて見る風景に興奮し
出石高校の前を抜け
川の水音を聞きながら
奥へと上がって行った
どこにも雪の名残りはなく
道縁には緑が芽吹き始めていた

そうして通り過ぎようとした脇に
吸い込まれるような空間が開いていて
太い一本の木があった
深い色の苔に被われた幹は
とてもふくよかで
まるで異次元から現れたようだった
奥には神社があって
その木にはしめ飾りにあるような折りの
白い紙が下げられていた

ご神木
昔よく行っていた神社にも
太い銀杏の木があって
雄々しく延びたあたたかな幹に
訪れるたびに触れていた
けれどこの木には
何かもっと違う雰囲気があって
それが辺り一帯にも漂っているようなのだ

帰って来て調べると
それは樹齢1000年を重ねる
石部神社のけやきだった
幹周7.8m樹高30m
兵庫の巨木100選によると
樹齢400年でもっと太いけやきもあるから
年月と大きさは
単純に比例するものではないようだ

よく屋久杉からパワーをもらうなんて
話しには聞いていたけれど
千年そこに立っている木の存在感は
ちらと通り過ぎただけで
圧倒的に人を惹き付けてしまう
気の遠くなるような年月を
過ごしてきたそれは
確かに生きているものの気配だったのだ

200年前の大火には
突然社に降った雨で焼失を免れたという
千年の間には
そんな不思議が沢山重なって
ただひたすらそこにいたけやき
そして
いくつもの不思議が重なった
大切なひとの縁で
わたしもけやきの前に立っていた


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ゆりすこ [MAIL] [吉祥堂]

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