武ニュースDiary


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目次前の記事新しい日記


2020年05月03日(日) 「ELLE MEN 叡士」2017年4月号・1

長いこと、雑誌の記事の紹介をしませんでした。
ある時期からは、考え方とか大きな変化はなく、よほど手練れのインタビュアーでないと、面白い記事は作れず、
またそういうのはごく少数なので、ざっと眺めるにとどまっていました。
が、まったく何の音沙汰もない今日この頃、時間もあることですし、少し振り返って見てみようかと思い、
中では一番最近になる「恋するシェフの最強レシピ」時の記事を選びました。
ブランクがあったので根気が続かず、数回に分けてご紹介します。

中国の雑誌「ELLE MEN 叡士」2017年4月号です。
原文はここで読めます。



ぼくはミステリアスなんかじゃない、
みんなの好奇心が強いだけ


  
 

一日、びっしりだった仕事も終わりに近づいた。
金城武はホテルのスイートルームの中でも比較的静かで
プライベートな一室を選び、腰を下ろして我々のインタビューを受ける。
低い、ややハスキーな声だ。
「今日は疲れましたか」
「そうですね……」
「もう慣れました?」
「慣れませんね」
彼は無意識に軽く咳払いしたが、姿勢は崩さず、申し訳なさそうに笑う。
「記者会見やマスコミの取材や撮影は体力を消耗させる気がするんですよ。
なぜだかわからないけど」

金城武、43歳。
1990年に台湾の福隆(フーロン)と契約して以来、27年もこの業界にいることになる。
だが、今なお、実に率直に触れ回るのだ、今でもスターの暮らしには慣れないのだと。
この日、彼は朝から晩までホテルを離れることがなかった。
インタビュー、記者発表会、雑誌の撮影など全てがこのホテルで
次々に行なわれたからだ。

撮影助手が準備をしている合間、彼はホテル最上階の全面ガラスの窓の前に立ち、
白いレースのカーテンを持ち上げて、日本語で独り言ちる。
「あそこはスモッグだな」
窓の外は広々した薄暗い空である。
東直門の外の大通りの喧騒は厚いガラスに遮られ、
部屋の中はスピーカーからのEDMが微かに聞こえてくるだけだ。

彼は振り返ると、やはり日本語でカメラマンのクマダと、
天気の悪さをおしゃべりする。「夕日もはっきり見えやしない」
ガラス窓が彼と外界を遮断し、日本語は面識のない中国人スタッフと隔絶させる。
本誌の撮影のためにわざわざ日本からやってきたカメラマンのクマダは、
金城武と仕事をして5、6年になる。
2人は互いをよく知っていて呼吸が合う。撮影のときも言葉数は少ない。

金城武の顔にはちょっと気付きにくいが、一種の遊離した感じがある。
細身の青い色のスーツを着て籐の椅子にすわり、足を組むと、
淡いオレンジ色の夕日が逆光となり、
その彫刻のような輪郭をくっきり浮かび上がらせた。
バルコニーは春の冷え込みで誰もが首を縮めていたが、
彼だけは何でもないかのように寒さに耐えていた。

彼は、カメラに向かいどのように雰囲気を伝えればよいかを知っていた。
平然とリラックスしているように見えるが、
眼からは凝縮が、深みが、ときに温かさが正確に届いてくる。
「彼は撮影効果を出すのがうまいんですよ、瞬間的な集中力が凄い。
一瞬の情感の表現が特別うまいですね」

41歳のクマダは、日本のファッション界で大勢の女性スターを撮ってきた。
普段は女性しか撮らない彼だが、金城武とは何年も仕事をしている。
「彼はね、外見にこだわらなくて、どう撮れたかも見ないんですよ。
かえってマネジャーの方が写真の出来を気にするぐらいです」
クマダは金城武にはある種の神秘性があると言う。
「この感じは説明が難しい、不思議な人なんです」
撮影の合間に、年の近い2人は、任天堂の昔のゲームについて話したりもする。

ピーター・チャンのような古くからの友人でなければ、
寡黙な金城武を、食事中楽しく話に花を咲かせる人間に変えることはできない。
何度も映画に出演させられるのも、ピーター・チャンだけだ。
4月28日、「喜歓你(恋するシェフの最強レシピ)」が公開される。
ピーター・チャン、金城武、4作目の映画である。

映画の中の金城武は、華麗な独身貴族の特徴を全て備えている。
ハンサムで、辛辣で、警戒心が強く、尊大。
だが、美味しいものには目が無い。
彼の警戒心を解いたのは、周冬雨演ずる料理の天才、1990年代生まれの、
チビでやせっぽちで小汚くて賢くて自由奔放な娘。
いわゆるトレンディドラマがそうだが、
身分と性格が大きく違うとぶつかりあって火花を散らし、ドラマティックな効果がある。
予告編を見た映画ファンは小躍りして喜んだ。
「武のいい男ぶりが、ついに元に戻った」
プロデューサーの許月珍はこう言った。
「久しぶりで、私の心をときめかす、愛情深い、美しい金城武に会えました。
私の男神が帰って来たのよ」
(続く)


   BBS   ネタバレDiary 23:00


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