武ニュースDiary


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2020年05月05日(火) 「ELLE MEN 叡士」2017年4月号・3

彼は本当に覚えていないのだ

は金城武についてあれこれ取りざたするが、
一番多いのは、おそらくその謎めいたところについてだろう。
神秘的とラベルを貼られる者は、芸能界でいくらもいない。
もしも超然としつつ、それでもなおスターの輝きと人々の関心を維持し、
さらには姿を現すたび注目を集めようとするなら、それは一種の賭けだ。
これは図ってできることではないし、真似できるものでもない。

長いこと、金城武に関するニュースは極めて少なく、あっても映画関連のものだけだ。
初期に台湾のバラエティ番組に出演していた以外は、その種の番組には一切出ていない。
スターの動向やエピソードの逐一が、SNSを通じて天下に知れ渡る時代に、
彼は世界の外に独立する真空のような存在である。

知らない人と話すのは嫌いですか、と尋ねてみた。
彼は即座にはっきりと頭を振った。
「他の人はぼくを見て、知ってると思うけれど、ぼくの方は相手が全然誰だか知らない。
ぼくは多分常にスターでいることができないのだと思う」
そして、スターであることは疲れると言う。

「そのスターは、実はぼくではない。誰であるかはぼくも知らない。
“彼”は人々が作り出した人物なんです」
彼はいつもこう思っている、
自分がミステリアスなのではなく、人が好奇心がありすぎるだけなのだと。

以前、こんな記事があった。
金城武が日本進出を決めたとき、マネジャーが彼に言った。
「もし、今大通りの真ん中に屈託なく寝転がってみたいと思うなら、
時間を無駄にしないように。
すぐにそういう自由なチャンスはなくなるでしょうから」
この忠告を彼は覚えていなかったが、生活は確かに「一変しましたね」。

「覚えていません」「知りません」は、彼がインタビューを受けるとき良く口にする言葉だ。
「10年前にぼくが話したということを言われると、
いつも、それ、ぼくが言ったのか、と思うんですよ」
昔出演したバラエティ番組や、受けたインタビューを見ると、
こいつは誰、どうしてこんな話をしているんだ、
なんでこんな顔つきをしているのか、と不思議に感じる。
友人のスターたちとその感覚について話したとき、1人が言った。
「それは全然別の人間なんだよ」。

「本当にそうだと思いましたね、”彼”は自分では全然ないんだ。
昔はただ仕事として、知名度を上げるためにレコードの宣伝に行った。
あの頃はとにかくどんどん番組に出なくちゃという風潮だったので、
できるだけそれに沿って頑張った。取り上げてもらえますからね。
そういう環境の中ではみんながそうだったから、
そうじゃなくちゃだめだと思い込まされていた」

後になって、彼はずっと自分自身を分析し、周りの環境を理解しようとした。
「人がたくさん話をし、たくさん説明すれば、誤解する人は本当にいなくなるのだろうか? 
露出が多ければ、やっぱり誤解はある」
彼は少しずつわかってきた。
「それで、そういうことにあまり積極的でなくなりました」

取材当日の午後、彼は「喜歓你(恋するシェフの最強レシピ)」の記者発表会に出席した。
周冬雨とステージに上がり、大いに語り、リラックスしているように見えた。
映画会社のスタッフは「金城武もこんなにたくさん話すことができるのか」と驚いた。
彼はやや困惑した笑みを浮かべると、言った。
「マイクを持ってて、話をしないとまずいでしょ」
「もし訊いてくれたら、取材なしでもいいですか、と言いますよ。
ぼくは得意じゃないから」

「いわゆる有名になることは、全然楽しくないんです。
でも、それであるから、大勢の仕事相手と知り合うチャンスがもらえる。
ピーター・チャン監督とかね。映像制作はもともと好きなことですし」

蔡康永が10年前に出版した本、
『那些男孩教我的事(あの男の子たちが私に教えてくれたこと)』に登場する第97番の若者は、
ファンたちの一方的願望によって金城武だと推測されている。
「彼の美しさは、息が詰まるほどで、地球人の美しさではない」
本の中で、祭康永は「絶世の美貌」という言葉で、その神秘的な男性スターを形容する。
「一種自由な存在の仕方をしている。
自分の美しさに対しては全く無関心だ。
大木がおのれの陰を気にかけたりしないように」

金城武自身はこの推測を否定している。
ただ、この物語は金城武だと考えるとあまりにぴったりなので、
ファンを責めることはできない。
しかも、彼が容貌や年齢による変化に無頓着なことは
「97番の男の子」とよく似ているし、確かに彼も若い頃、監督志望だった。

「本当は、何にでも興味があるんです。
撮影だけでなく、ライティングや、美術、それに監督や脚本にも。
ただ。あの頃は若かったから、監督が一番力があるなと思って」
だが、この10数年、彼は俳優の本分をひたすら守り続けてきた。
「まず俳優としてちゃんとやる、それと同時に吸収できる新しい知識は吸収する。
将来そのことがどうなるかは、ぼくもわかりません」
(続く)





   BBS   ネタバレDiary 23:30


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