武ニュースDiary


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2020年05月17日(日) 「天下雑誌」2014年12月号「金城武インタビュー」・2

――長い俳優人生で、大きく成長したのと感じたのはいつのときですか?

金城武 成長はやはり年月によるものですね。
年齢が上がるだけでなく、物事の考え方も大きく変わります。
また、たくさんのことを経験します。
ぼくの年齢だと、おじさんやおばさんとかが亡くなったりということも
起きてくる。
経験は、きちんと経験することで、本当に感じ取ることができると思います。

でも、映画に関しては、ウォン・カーウァイのおかげで
ものすごく興味を持つことができました。
監督の映画に参加したときは、「なんでこんなに面白いんだ!」って感じでした。
脚本が無いですって?
(注・カーウァイの映画は完成した脚本が用意されることがほとんどない)
ありますよ、毎日1枚くれる。
で、「明日は同じシーンをもう1度撮る。
昨日撮ったのは使わないからね」と言うんです。
当時はぼくも若かったけど、もし今そうすると言われたら、
我慢できないんじゃないかなあ、
「また撮り直し? 先にちゃんと脚本書けないの?」って言うでしょうね。

でも、こういう監督に出会ったことで、チャンスがもらえた。
同じ動作を20回繰り返していい。
20種類のやり方をやってみせてもいい。
あのとき、ぼくは映画って、創作するって面白いなあと感じました。
文字に書かれたものを立体的なものに変える。
あの頃は、違う風格の監督、映画をなんでも試してみたい、という気持ちでした。
朱延平監督の映画で、コメディ・アクションをやったのもそうです。

――年月が成長させるといいましたが、
人は挫折から成長するということがしばしばあります。
あなたの場合、何か大きな挫折がありましたか?


金城 挫折はもちろんありましたよ。
でも、自分でも何だったか言えないんです。
多分、映画が出来てみたら、全然満足がいかなかったとか、
あるいは誤解がどんどん大きくなってしまって、
あいつはあんな人間なんだと思われたりとか、かな。

みんなが「君は男神だ」というのもそうですかね。
ぼくはこれも誤解だと思っている。
だからといって大して考えないけれど、
ただ、そんなものにはなりたくないだけです。

「どうしてそんなにミステリアスなんですか」とよく聞かれるけれど、
ぼくはこう思うんです、あなた方が知りたがるだけじゃないですかって。
あなた方が好奇心が強すぎるので、
ぼくがミステリアスというわけじゃないんですよ。
もちろん、ぼくの性格は割に控えめな方だけれど、
それも、ただ他の人が意気盛んなだけで、ぼくが大人しすぎるわけじゃない。
相対的な話に過ぎません。

ぼくにも失敗はある、
みんなが覚えていないだけ


金城 確かに挫折を経験してこそ成長があるし、
失敗を経験してこそ成功があって、
そういう成功はより確かなものだと思います。

ぼくもやはり失敗したことはありますよ。
でも、みんなあまり覚えていないだけなんです。
だから、成功もない。
本当は人生には成功、不成功なんてものはなくて、
成功は1つの過程に過ぎない。
誰でも何でもずうっと順調に行くっていうことはないでしょう?

――さっき、役の人物には特色がなければならないといいましたが、
ではあなたの特色は何ですか?


金城 ぼくの特色は何か、ぼくの特色……? うーん……答えがない。
ぼくの特色は何か? ものぐさかな?(爆笑)
もちろん自然や縁を大事に思っているとか、
多くのことは手に入れようと思って手に入れられるものではないと
考えているということもあります。

ほら、最高の監督と、最高の脚本家と、最高の俳優を集めて作った映画は、
必ず最高の映画になりますか?
たいていのことは無理やりやるものではなく、縁に任せるしかない。
けれども、それに出合ったら大切にする。
出合えなくても、「なんだ、だめだったじゃないか」とは考えないこと。
まだまだこれから物事を学んでいくんですから。
そして大切にする、一瞬一瞬を大切にする。

ぼくの特色ね? すごく答えてあげたいんだけれど、
自分はまだ成長の途中だと思うんです。
ぼくが何かを言うと、人はそれでぼくのことを定義する。
でも、ぼくは変化している、また変わらないこともある。
本当に答えが出ないときは、無理に言って、
誤解を作らない方がいいと思うんです。

――あなたの生活は比較的単純で、自分に忠実な状態でいると感じますが、そうですか?

金城 今おっしゃったことは、そうかもしれません。

――今の社会は野心が重要視されていますが、
あなたはどちらかというと自然に任せるという感じがします。
こういう社会に馴染めないと感じていますか?


金城 そうではないです。社会は今おっしゃったのとは違うと思います。
例えば台湾がそういう社会だとは言えない。
地方によっても違うでしょう、それぞれの文化がありますから。
ぼくは多分、ある地域には馴染めないかもしれないけれど、
別のところでは快適だと感じるかもしれない。

意識してピュアであろうとか何であろうとかしているのではありません。
やったことないこと、関わったことが無いことはたくさんあって、
それで当然あまり影響を受けたり、
こだわったりということがないということでしょうね。
(完)


これでおしまいです。
ウェブに原文があったので、後でURLを追加しておきます。



   BBS   ネタバレDiary 22:30


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