武ニュースDiary

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2020年05月23日(土) |
「智族GQ」2016年12月号「トニー・レオンと金城武」・3 |
現場で思いついたことの方が生き生きする
「いつからそうなのだろう、どんなものにも期限がある。 サンマ、ミートソース、サランラップでさえも。 この世で期限のないものはないのか」
いったん共感があれば、名作映画の名セリフは、観客の脳裏に あの有名な金城武の様子をたやすく思い起こさせる。
1994年、金城武はウォン・カ−ウァイ自らの指名で 「恋する枠絵師」に出演した。 フーロンと契約して4年目になったときである。 これ以前は、曲を書いてはCDを出すのに忙しかった。 映画はまだ1本しか出たことがなく、映画界には足を踏み入れたばかりだった。
「恋する惑星」出演は、彼に新しい世界の扉を開く転機となった―― 毎日1枚の紙をにらんで台詞を考える、予測不可能な中で作られた作品こそ、 初めて演技を楽しいと思えた作品だったのである。
また「恋する惑星」に続いて出演したカーウァイ作品「天使の涙」は、 後日、日本での知名度を確立する出世作となる。 今日でもなお、金城武といえば、観客は、パイナップルの缶詰を食べる 何志武(モウ)を、すぐ思い浮かべる。
「恋する惑星」から始まり、「傷城(傷だらけの男たち)」 「レッドクリフ」を経て「擺渡人」がクランクインし、 警官223号と663号はまもなく4度目の再会を果たす。 ただ、223と663は、2人のコンビができた映画では共演場面がない。 それで金城武はトニー・レオンとの共演についての話になったとき、 深い印象を持ったのは、まず「レッドクリフ」のときだと言う。
この映画ではひげをつけなくてはならなかったので、 顔の表情をあまり大きく動かしてはいけなかった。 ところがトニー・レオンは、金城武がひげを付け終わった頃にやってきては、 笑い話をするのである。 「それでぼくは笑ってしまい、『あっ、笑い話はやめてください!』。 わざと笑わせるんですよね、ひげが落ちてしまうように」
それ以来、金城武には、トニ・レオンの笑い話は いつもとてもおかしいという印象がある―― 自分の笑いのハードルが高いのか低いのかわからないが、 しかし毎回、こらえきれず笑ってしまうのだ。
今度の再会では、幸い2人の共演が多かったので、 撮影班でのカーウァイ式予測不能な創造性は今回も保たれた。
現場では突然の閃きのために、3時間もかけて、 「ピザを愛する者が勝つ」の一章を書くようなことが、今回もあった。
初めの設定では、ピザを買った客におまけをあげるというシーンだったが、 何カットか撮ってみても、みな、どうもピンと来なかった。 現場で討論の後、ここはバックダンサーと鳴り物付きのシーンに変更することになり、 ちょうど待機していた金城武が、命懸けの愛こそ勝つ、と歌うことになった―― これでこそ、いい感じになる。
さらに、命懸けの愛こそ勝つ、は「ピザを愛する者こそ勝つ」へと発展する。 (注・「ピザを愛する」と「命懸けで愛する」の中国語はbとpの違いだけで音がほぼ同じ) 幸い撮影班の大きな特色が、道具班が非常に優秀だということだった。 金城武が、ドラえもんがいるのではないかと疑ったほどだから、何でもできた。 例えばこのようなとき、道具版の出番になると、 すぐに新しいアイディアに沿って大道具を作り、 俳優たちは火鍋を食べて待っている。 出来上がったら撮影再開だ。
このようなやり方は大変時間を食う。 しかし、たくさんの創造的アイディアが得られる。 大変なんじゃないかって? 確かに困難だ。だが、 「往々にして現場で考えついたことの方が、生き生きとして命がある」。 (続く) 
文中には「恋する惑星」の前に出た映画は1本、とありますが、 「ワンダーガールズ2」と、「香港犯罪ファイル」の2本ではないかと思います。 次回で終わりです。
BBS ネタバレDiary 23:20
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