武ニュースDiary


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2020年05月24日(日) 「智族GQ」2016年12月号「トニー・レオンと金城武」・4(完)

ぼくは本当に単純

ンタビューは、晩秋の北京には珍しい晴天の日に行なわれた。
ホテルの部屋のブラインドは半ば開かれており、
金城武は足取り軽く部屋に入ってきた。
逆光になる位置に座ると、
クリーム色のフード付きジャケットのファスナーをきっちり引いた
彼の周りを、筋状の光が囲み、大柄なシルエットを浮かび上がらせた。

話し始めると、実に楽しそうで、「ピザを愛する者が勝つ」の話のときは、
ボディ・ランゲージも活発になった。
この日、彼は機嫌が大変良かった。

「1つのことを長い間ひたすらやってきて、
その間、どうしたらずっと好奇心を持ち続けることができますか?
それで悩んだことはないですか?」

実は、彼も悩むことがある。
この問題への彼の答えは「それなら、やる数をできるだけ少なくする」だった。
しかし、今は、どんな面白い場合でも、すべて楽しくできるわけではないことも、
彼はよくわかっている。
「それでも、少なくとも一部分でも面白いと思えるなら、
それを大事にしてやるだけです」

物事をやるときは、楽しくやりたいと彼は思っている。
例えば、撮影のときは、架空の存在を立体的なものにしていく過程を
大いに楽しむ。

「それ以外のことはぼくには関係ないし、したいとも思わない。
大事なことはこの楽しんでやれることで、
他のことは、何とか折りあえる方法があるなら、やるということです。
1本の映画は1人でやっているわけではなく、他の出演者もいるし、
他にいいシーンもあるのだから、それで不満ある? ということですよね?
時には満足できないこともあるけれど、だからってどうすることもできない、
自分の仕事をきちんとやるしかない」

ここ数年、彼も俳優として映画環境の変化について感じることはある。
脚本がすごく変わったし、映画人たちと話しているとき、
彼らが大きく変わってきたのに気づく。

「ウォン・カーウァイは監督であり、映像編集者であり、
会社のボスでもある、多元的です。
彼は、ぼくらが持っている概念に対し、現在の市場はどんなふうであり、
映画の内容が目指す方向は以前とどのように変わってきたのか、
人々は今、どんな方面のことを多く考慮に入れるようになり始めたのか、
などを話してくれます。
映画人はこうした変化を知る必要がある。
この市場に沿ってみんなが変わり始めたということがわかります」

「擺渡人」という作品から、ウォン・カーウァイ自身の変化も、彼は感じ取った。
初めは映画自体には全く関わらない、
若い人――張嘉佳に、あるいは新世代の俳優たちに、
このチャンスをあげたいという態度をとっていたことだ。
後になると、彼自身も我慢できなくなって、制作に参与し始めたのだが。
喜びはそこにあるからである。

「これは市場の変化のせいだろうか? ぼくもわからない。
でも、カーウァイは、彼のあのやり方だけではだめだと感じたんだと思う」

金城武は自分はものぐさだと言う。
映画業界全体の変化や流行に対し、それに関わっているという感覚はない。

「過去の自分も、未来の自分もない。
ぼくはすごく簡単で、オファーがあり、興味を持てば出演するだけ。
ぼくの唯一の任務は、その登場人物を生きたものにすることだけです」
コメディでも、悲劇でも。
(完)

    



   BBS   ネタバレDiary   23:00


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