にゃんことごはん
ごはん



 迷える猫の帰還 1

あみっちが逃走してから調度、一ヵ月が過ぎた。

自分の意志で出て行ったわけではなく、ベランダから滑り落ちてパニックになったまま走っていってしまったので、自力で戻ってくる事は難しいだろうと予想していた。すぐにチラシをつくり逃げた辺りに配って歩きながら探し、さらにポスターを貼った。
この辺りには、大勢のエサやりさんがいるので、必ずどこかでエサをもらっているだろうと思い、エサやりさんにお会いするたびに、声もかけた。ペット探しのプロも依頼して、探索した。

よく似た猫を見たというお電話は随分と頂戴したのだが、確認しに行って見ると違う猫だったり、お話をよく聞くと、特徴が違ったり……。
傑作だったのは、「あみちゃん、とお声をかけてみたら返事をしたんで、多分そうだと思う」とお知らせくださった何人かの方。すみません、あみっちは名前を呼ばれて返事をするような猫じゃないんです。

絶対、遠くには行っていないという確信はあった。けれど、野良猫たちのテリトリーに入れずに追われながら移動しているんだろうか、という一抹の不安も過ぎってくる。

朗報は、日曜日に入った。
ご自宅の庭で野良猫にエサをあげているお宅のお隣に、あみっちらしき猫が来た、と言う。聞けば、そこはあみっちが逃げていったと思われる家のお隣とか。
「あみちゃん」と呼んでも絶対に近くには来ない。近づくと逃げる。ただ、他の猫が食べ終わったあと、残ったものを食べに降りてきているらしい、と聞いて、間違いない、と確信した。

日曜日から毎日通って、今日、ようやくその猫に会って、あみっち本人(猫?)なのを確認できた。エサやりさん宅のエサ場に捕獲器を仕掛けることもできるが、どうも、お隣の裏庭を拠点にしているようなので、そちらに捕獲器を仕掛けたほうがよかろう(他の野良猫が間違って入ることが、少ない)ということになり、お隣にお願いしたところ、快く承諾してくださった。

−−続く

2002年04月24日(水)
初日 最新 目次 MAIL HOME