にゃんことごはん
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 夢の中 泣き叫び怒鳴っていたよ ショーちゃんはどこ、ショーちゃん返せと

怖い夢を見ました。

リュウと二人、ショーにワクチンを打ってもらうために外出しています。なぜか元町商店街を歩いて(ウチの仔たちを連れて行く獣医さんは、元町とは反対方向にあるので、これは実際にはありえないことなのですが)、信号を渡って石川町の駅に向かいます。

途中で、ボロボロの猫を見かけ「あ、あの仔をなんとかしなくちゃ」と言い合う私たちの目の前で、見知らぬ男性がその仔を抱き上げたので、「大丈夫ですか」と声をかけると、「近くにいい獣医がいるから」と言うので、私たちも付いていきます。

行くと、ワクチン待ちの猫さんたちがたくさんいて(ちょうど、縁日のひよこのような感じで、平たい箱に入っています)、「ワクチンの方は、こちらにお願いします」と言われ、私はショーをその箱に入れます。この時点でリュウはいなくて、なぜか、母がいます。で、夢なのでリュウがいないことにも、15年ほど前に他界した母がいることにも、疑問を抱いていない私。

やがてその箱は、箱を載せているカートごとゴロゴロと病院の奥に消えていきます。「ワクチンの方は明日迎えに来てくださいね」と言われ、私や他の人たちも病院を出ます。しかし母が「あれは、おかしいよ」と私に言います。母は猫嫌い(嫌いと言うより、怖い、と言ったほうがいいような感じ)の人だけに、その母の言うことが私は気になってひとりで病院に戻り、出てきた看護士の方に「やっぱり、今日連れて帰ります」と告げると、さっきの平たい箱が、またガラガラと引き出されてきました。

でも、どこを探してもショーがいません。「いないんです」「おかしいですね、どんな猫ですか?」「シルバータビーの」「アメリカンショートヘアは、この仔とこの仔と」と示された先を見ても、ショーではありません。「いません」「でも、先ほど連れて来られた猫は、これで全部です」そう言って看護士の方は、ガラガラと箱を引いて行こうとします。待ってください、と言って、再度、全部の猫を確認する私。「もういいいですか?」「でも、さっき連れてきたんですよ」と、この辺になると、もう喧嘩腰です。「じゃあ、どうぞ、気の済むまで病院内を探してください」と言われ、私はショーの名前を呼びながら、その建物内を走り回る……。

なんで、こんなとこに来ちゃったんだろう。なんで、さっきまでいたショーちゃんがいないんだろう。どこにいったのよ、ショーちゃん。ショーちゃんを返してよ、と大声で泣き叫びながら走り回っているうちに、目が覚めました。

起きてもドキドキしていて、しばらく夢だが現実だかわからず、はっとして体を起こすと、ベッドの三方で寝ていた、ニャンと練とショーが、眠そうな顔を上げました。ああ、夢だった……。

当のショーは眠そうな細い目で私を見、まだ起きる時間じゃないなと思ったらしく、再び頭を前足に乗せて眠りました。
私はまだドキドキしながら、そんなショーを見てました。
ほんと、良かった夢で。

なんで、こんな夢を見たんだろう、さっぱりわかりません。
この夏、ショーは毎度のことながら痩せて、心配ではあったのですが、取り立ててどうということもなく、ニャンちゃんのおしっこ具合と共に、我が家の夏の風物詩以上の何物でもありませんでした。
ほかには、仕事上の懸案事項に、私としては珍しく胃の痛くなる思いをしてはいたのですが、それと関係あるのでしょうか?

夢の中での「なんでショーちゃんを、こんなところで手放してしまったんだろう」という、絶望的な後悔の念はとてもリアルでした。現実には味わったことのない、絶望感だったと思います。
何年も前、あみちゃんがマンション裏の高い塀を乗り越えて外の世界に飛び出していったとき感じた絶望感に近いのですが、でも、それとも違っていました。あれは目の前で起きたことに対する感情だったから、と思います。

だから想像でしかないのですが、たとえば子どもを誘拐されたりしたら。帰ってこない子を心配しているところに、最悪の報がもたらされたら、夢の中のような気持ちになるかもしれない、と思いました。「なんで、あのとき」と。

何はともあれ、夢の話です。

当のショーは、相変わらず我が家一のマイペースで、水道の蛇口から水を飲みたがり(おかげで我が家はキッチンと洗面所に浄水器が設置してあります)、そのくせ、超軟水を入れている水鉢に前足をつけて舐める、という飲み方をこっそりしています。見つかると、さりげなく、しかしそそくさと立ち去るのが……。

2012年09月15日(土)
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