絵画制作日誌    Diary INDEXBACKNEXTHOME GALLERY


目黒区美術館・顔の踏み絵         2001年08月04日(土)

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足跡実にどうしてくれよう。

平日制作してひとりよがりにならないためにも、土曜日は是非美術館に行きたい。
先週はチビ連れなのに無理して土日歩き回ることになってしまった。
チビも疲れて平日一日保育園休ませたし、私も足が痛くなったりして病院へ行った。
無理はできない。悔しいけど。工夫しよう。

で、相棒に運転手になってもらって、実家へ行くことにした。
チビは東京のばばの所に行きたがっていたので、午前中預けて、午後から目黒区美術館へ。区民ギャラリーで友人がグループ展をしている。

結論から言うと、面白かった。
一人の世界に閉じこもりがちなアートの世界、それの殻を破るには、何が有効だろうか?一つは世俗的なものを恐れずに描くことではないかと思わせられた。中心となる作家は抽象画を良く描くが、それは具体的なものを抽象化した抽象画。全くの形ない物を描くのとは違う。その作家が、似顔絵を描いた。そして一面に床に敷き詰める。観る人は靴を脱ぎ、透明シートの上を歩きながら作品を見る。それが面白い。

もっとも面白かったのは、描かれた顔のほとんどが友人・知人であったことも関係しているだろう。知っている顔。それほど認識が違うのだ。そして相棒の顔、私の顔、チビの顔もあったよ。チビもやっぱり連れてくれば面白がったろうな。

そのグループ展を満喫し、もう一つ展覧会を観たかった。
が、きちんと調べなかったので、時間もなく見ることが出来なかった。
ちょっとがっかり。


はしごすることができなかったもう一つの原因は、相棒が珍しく「疲れた」と言ったこと。ヤツも作品が作りたがっている。友人のグループ展や個展を観るたびに、焦りと希望を漏らす。いつも同じセリフ。「俺も作りてーなぁ」。そして私の返答もいつも同じ。「小さいものから始めなよ」。でも今日は違った。

脱皮できなかったセミ「月曜から金曜、朝から晩まで働いて、土日はこうやって家族サービスをしなければならない。俺には制作する時間がない!」と怨み節。まぁ、気持ちは分かる。それで慌てて、相棒の自由時間を作るセッティングを。
朝は、「お盆は私、コンクール出品作品を描きたいから、海にでもチビと2人で行って来てくれ。私は久しぶりに昼夜構わず制作したい」と説得していたのに。
でも、「じゃぁ、私は諦めるから、お盆に3日間相棒の制作を邪魔しないよう、チビと2人で何処かに行ってるよ」、と具体的にセッティングすると相棒はしょんぼりして「いいよいいよ、時間があっても俺きっと何もできないから。何か作りたいけれど、具体的にどうしてもこれが作りたい、というものがないから。」

これまた珍しく弱音。結婚する前、作品が完成しなくて落ち込んでいる私に、「俺は構想10年だよ。忙しくてなかなか取りかかれないけれど、俺は諦めない!絶対いつか作品を作る!」と力強く励ましてくれたのに。


学生の時は横並びでスタートしたのに、やる人、やらない人、大分差がついてきた。やった人を羨んでも良いけれど、就職もしないで一銭にもならない芸術活動するには、どれくらいの世間の偏見に耐え、世俗の喜びを捨てて制作してきたことか。私は知っている。こういう言い方すると本人はイヤだろうけれど、生活の賭け方が違うような気がする。20代の気楽な時期を過ぎ、迷いの30代前半を過ぎ、30代後半になった友人たちの作品を見て、改めて感じる。

「小さいものから作ると良いよ。イメージが湧いたらとりあえずメモを取るとか。」
私から相棒へ送る助言は、やっぱりこれしか言えなかった。


そんで、一応土日はやっぱり相棒の力を借りなくても、チビ連れで外出できるよう、車の免許でも取ってみるかな。

◆参考リンク
鷹美術アトリエを懐かしむページ
 http://homepage2.nifty.com/hpy2/Taka-B/

新世紀ドクダミ草の祭壇 X
 http://homepage.mac.com/art_exhibition/

by HPY


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