絵画制作日誌    Diary INDEXBACKNEXTHOME GALLERY


劇的交代。朝は蝉、昼は秋。         2001年08月24日(金)

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まるで通勤するような気持ちで雑木林まで出かける。今日は昨日より更に速い。

わんこを2匹連れたおじさんがベンチに座っているので、軽く挨拶すると「昨日もスケッチしていた人ですよねー」と話しかけてきた。
なんかいろいろと駄話がしたかったようだけれど。とりあえず会話は続かせない。向こうに興味があってもこっちは興味がなかったからなぁ。「いいご趣味ですねー」とお決まりのセリフ。このセリフにむかつく人は多い。ま、どうでもいいんだけれど。


雑木林今日は昨日よりも準備がいい。

◆画箱
画箱を持っているだけでこんなにやりやすいとは思わなかった。筆もくしゃくしゃにならないし。昨日は全部リュックにごちゃごちゃに入れたので、穂先がかなり傷んだよ。

◆椅子 (座布団)
空気クッション持参。ベンチでは尻が痛くなるので。
今日は地べたに座ったので、ビニールシートも持ってくれば良かった。

◆ゴミ対策
空き瓶。鉛筆の削りかすを入れた。ビニール袋は必須だが、見かけが汚いし風で飛んだりするので。
もうひとつの空き瓶には水彩用の水が入っている。

◆食料
ペットボトルに水。食パン。単に弁当作るのが面倒だったから。食パンかじって水飲んだ。貧乏くさくていいな、なんて思いながら。

雑木林は思いの外涼しい。クーラーなんてもちろんないけれど、涼しく過ごしやすい。昨日は来るなり蚊、ハチ、ハエ、甲虫、バッタ、蟻、いろんな虫が偵察しに私の元へやってきた(ような気がする)。今日はハチが一応偵察に来ただけ。慣れてきて、「虫に無視された」なんてくだらないこと考えてほくそ笑む。

正午を境に、朝の光と昼の光がまるで違うのに気がついた。
そしてバックミュージックも。
朝のうるさいまでに蝉の声、昼は鈴虫・秋の声に変わった。
まだ秋らしい情緒はないけれど、蝉の声は後退し、鈴虫が前面に出てくる。
その変化や劇的。

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こんなににぎやかな雑木林で感じたり見たりしているのに、描く絵の方は全くたいしたことない。感じたことが反映されていない。(苦笑)

思ったことは、水彩絵の具、日本画顔彩、テンペラ絵の具、鉛筆と画材から出る表現の差。
水彩絵の具は発色が良く、のびもいい。白色はない。白は普通紙の色を活かす。ということは厚塗りはしないということ。これはイメージ、雰囲気を表すのに適した画材ではないだろうか?風景を描くにはいい。

でも、私はテンペラ絵の具ばかり使っていたので、水彩をうまく扱えない。ひいては、風景を雰囲気出してまとめる事ができない。一つの対象を見て、ぐじぐじ追いかけて描く事に熱中してしまう。面相筆が好きで。あぁ、こんな所にもテンペラの影響が。

白・黒で構成を考えて、その上に有彩色を混ぜずに置く。これが私のテンペラの描き方。対象を細かく描くために、形と色彩と分けている。

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雑木林午後2時。疲れたのでひとまず引き上げる。
帰り、ホームセンターに行ったけれど、シナ合板はなかった。
支持体がなくなってきたので、そろそろ作らなければと思っている。


家に帰り、ベランダの定位置で喫煙。
クーラーの上にぼろぼろにさびついたマンホールの蓋(相棒が拾ってきた)のようなものがあって、その上に園芸用土が入った黒いビニール袋がある。
その前に、何故か草が芽生えている。結構大きくなった。それを見るのが好きだ。

でももう8月だから、こいつはもうすぐ枯れてしまうんだろうなぁ・・・。
そう思ったらどうしてもテンペラがやりたくなった。写真じゃなくて、想像じゃなくて、構成でもなくて、直描きがしたい。ものを見て記録したい。

そんで描きだした。6号サイズ・板。石膏地。いろいろと模様をつけた緑系地塗り済み。鉛筆デッサンはどうせ見えないので、筆と絵の具で下絵を描く。
イエローオーカーであたりをつけ、黒色はテールベルト。白色はチタン白。
鉛筆より早い。

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植物見て描いていると、途中からどんどん形が変わるんだけれどさ。
夕方になるとうなだれて。枯れたり成長したり。特に切り花。それが細密画系には困りもの。

アントニオ・ロペスの、「マルメロの陽光」を思い出す。蜜柑が重くなるとロペスも描き直すんだよね。

by HPY


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