絵画制作日誌    Diary INDEXBACKNEXTHOME GALLERY


美術館はしご         2001年09月01日(土)

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久しぶりに日記を書く。
ま、過去の分もおいおい思い出したときに書くとして。
一言で言うと、今週前半はゲームに心を食われておりました。でも面白かった。(^^;ゲームのオープニングで、古代紋様の絵巻物のような絵が出てくるのですが、なんとなく感動して。リアルに描く→次段階は紋様や様式化なのかなぁ、なんて思ったりして。
後半は保育園のバザーポスター描きです。ポスターだけなら私が適当にパソで作成してコピーでいいのですが、できるだけ多くの父母の手を関わらせたいという意向がありましたので、ぬり絵バージョンを作成。具体的なものを描くと、塗る色が決まっちゃうので、三角をちりばめた抽象的な構成にした。きっとみんな一様には塗れないだろう。ふっふっふ。どんな風に塗られるか楽しみだ。

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土曜日は美術館に行きました。
日記サイト関係で知り合った、はんなさんのご好意で、芸大「油画を読む」展のチケットを頂きました。

まず、久しぶりに芸大行った感想。
正門が綺麗になっていて、芸大美術館もめちゃくちゃ綺麗に新築されていてびっくり!でもどこから入るのか分からなくて、ぐるっと一周してしまいました。これは私だけではなくて、他にも迷い込んだ人が何人かいた模様。

◆油画を読む。
うーん、作品は今イチ面白みには欠けたかもなぁ。
技法研究としては面白かったです。
明治時代の旧派、割と好きなんですけれど、当時キャンバスは高かったのか貴重品だったのか、みなさん何度も下の絵を消して上に描き足していく。赤外線で見ると、下の絵が少し分かる、というものですが、下の絵が乾かないうちに上に絵を描いてしまったりすると、後ほど剥離・ひび割れの原因となることを実証していました。

技法研究の中で耐久度実験は特に私には分からない。
過去の画家の技法を研究して、今の状態をチェックすると、使ってはイケナイ技法などももっとよく分かって2の足踏まないように気をつけることができるかもしれません。

そういうことで、技法的な学習は、
・下層部が乾いてから上層部に塗る。
・黒を使うときは特に注意。
・地塗りの重要さをおろそかにしない。

うん。基本再認識。
絵で好きだったのは山本芳翠。薄塗り・厚塗りどちらも。マチエールが美しく。画面の破損もない。洒落ている。

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上野でせっかくだから、都美館巡りをすることに。

◆院展
初めて見ました。最初の印象は、「レベル高ぇーーー」(@▽@)
次の感想は、「絵って何だろう・・(落ち込みバージョン)」
でも、何回もB1から2Fまで行ったり来たりしているうちに、なんかびびんないでもう少し面白い事を見つけました。
最近の日本画は、レリーフがはやっているのかしら?形に沿ってもりあげているものが目立ちました。例えば河原の石ころとか植物の葉とか。さながらローレリーフみたい。

「油画〜」で、油彩画壇で失ったものは風俗画かもしれないなぁ、と思っていましたが、ありましたありました。日々の日常風景を切り取ったような絵がたくさん。それはそれで面白かったです。私も日常風景を切り取ったような世界が好きなので。手放しで共感することはできませんでしたが。

いろいろいいな、と思う人がいましたが、伝統的な日本画は一枚だけ。
斎藤満栄さんの「香夢」。一番素敵でした。美しい。絵はがき買っちゃいました。

あと、気に入った方はたくさんいたので、メモしてきました。ついでに写真も。
2F
13室
 赤田美砂緒 ...庭園で赤い服・後ろ姿の少年の絵
15室
 平子真理 ...弓を持ち馬に乗る若武者。逆光で顔が見えないのがいい。
 国生直樹 ...白い雪(砂?)に足跡
11室
 桝田隆一 ...とうもろこし畑。勢い良く線を引く。(千葉県の人)
 
3F
17室
 牧野環 ...赤い造船
 桜井征信 ...河原の石と木
19室
 劉(?読み方分からじ) ...はすの花と光る水面
20室
 相澤豊治 ...冬の雪が舞って寒そうな田園風景
 山村典子 ...京風長屋に着物の子供が2人。白い風景。
 佐藤孝 ...都市の橋の下。わずかな光。
22室
 塚本敏清 ...すすき野。ピンとたったすすきが綺麗。
 早川貴子 ...かくれんぼ。傘と子供、小犬。

1F
5室
 角田信四郎 ...オレンジ色の花が
 斎藤満栄 ...伝統的な日本画を感じさせる。白い背景に白い花。たっぷり塗った花箇所のマチエールがめちゃ綺麗。

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足が痛いので、もうひとつだけ見ようと思う。二科展、主体展、行動展どれをみようか迷うけれど、入り口付近のリアルな絵が見たくなったので主体展にした。

主体展は油絵。日本画とは大分趣が違う。日本画が現実風景描写から始まるのに対して、好き勝手やってる感じ。自由だがその分作品レベルは院展に負ける感じ。どちらが良いかは知らない。日本画はどれも同じような感じでもあった。でも好き勝手に夢を描いても、実はどれもどこかで見たことあるようなイメージ。

1F
 寿永雅章 野原の絵
 これは結構面白かった。横長。三つ葉のクローバーがびっしり生えた野原の遠景に、女性と子供。技法的に何の絵の具を使っているか分からない。油絵の具じゃないと思う。テンペラ?アクリル?顔料の粒が見えたのでテンペラかもしれないが、もしかして岩絵の具だったりして・・・。うーん。画面はベニヤに綿布らしい。ベニヤは薄く、額縁も手製だが、下に紫の布を張り、その上に固定してある。額の縁はベニヤで濃い色でニス塗り。


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◆練馬区美術館「光とその表現」展

練馬区美術館は大好き。知名度がさほどない作家を取り上げるのだが、いつもコンセプトが面白い。人も少な目なので、とてもゆったりした気持ちで絵を見ることができるから。アンケート用紙が置いてあるのだが、私以外にもいた数少ないお客はみんなアンケート用紙に記入していたよ。「アクセス数は少なくても客のレスポンスが良いサイト」という感じですかな。

一番良かったのは上田薫のコップの絵。
上田薫は巨大な生卵の作品で有名。フォトレアリズムとでも言うんでしょうかね。こんなのが上野の公募展にあったら、もう他の作品圧倒しちゃうな。迷いも悩みも画面から感じられない。いいな、と思って1日で描きあげました、という感じで楽しい。メタリックなクローズアップ、写真で近すぎるとぴんぼけで光の渦だけになるのだけれど、それをでかい画面に変なひねりなくして描く。爽快。
他にも光を意識した絵画作品はあったけれど、やっぱイメージ描くよりそのもの描いちゃった方が強いし私は好きだ。
うん、コップの絵が好き。

スーパーリアリズムというかフォトレアリズムというか、用語は詳しくないからどうでもいいけれど、これは印刷物にしてはいけない作品だなぁ、と思う。でかいし。

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TVでもやってたし、母に本も借りた。変形性膝関節症。これは真面目にリハビリしないとまずいなぁ。美術館巡りが終わって、帰宅したのは6時前、約7時間歩き回っていたわけだ。うーん、膝と足首が痛いよ。最後の方は泣きそうになりながら足ひきづって歩いてました。でも収穫ありで嬉。

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[参考リンク]
◆チケットくれたかわいい芸大生・はんなさんのサイト
 上野の森からこんにちは

◆院展・斎藤満栄さん関連サイト
作家のWebサイトはなかったのですが、ネットで調べたら先生をやっているようです。教えて貰いにいこうかな...
NHK文化センター青山教室 10月期講座のごあんない
同じくネットで調べて作品写真(1点)が載っていました。綺麗です。花の絵。
第6回天心記念茨城賞決定

◆練馬区美術館「光とその表現」展
http://www.city.nerima.tokyo.jp/museum/hikari.html

by HPY


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