絵画制作日誌    Diary INDEXBACKNEXTHOME GALLERY


卒展へバイクで。         2002年02月25日(月)

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バイクで上野の都美館まで、卒展観に行きました。
バイク。このクソ寒いのにバイク。しかも原付。片道2時間弱。
駅から近いし、電車で行けば本も読めるのに。
好きこのんでバイク。

よくやるよ。

久しぶりの遠乗りはそれなりに面白かったです。
こすっからい奴らが多かった。都心のバイクのり。原チャ乗り。
渋滞を抜ける抜ける、自動車やトラックが前進しようとしているのに、それでも抜ける。あれじゃぁ、いつか引っかけられるよ。
バイクをお嫌いな自動車の方々も確かにおりまして、明らかに「邪魔!」という態度で運転なされている。うざいから無理にでもバイクは抜かさなければならない。これまたこすっからいような気がする。
そんなこすっからい奴らと一団となって、上野まで走っていったのであります。

実は千葉から東京へ行くのに、感動的なシーンが4つある。
川を渡るとき。
これは気持ちいいよ。

子供の時、自転車で川を渡るのが好きだった。
それは隣の市まで約1.5時間の道のりなんだけれど、川を抜けるときは感動した。
「川は生きている」も読んだ。川はいいな。広くて。そして道路はコワイ。

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えっと、何しに行ったんだっけ????

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そうだそうだ、卒展観に行ったんだ。
普段軟弱なんで、会場付いたらへろへろで足が笑ってた。気持ちがバイクモードになっているので、緊張してやたら周囲に気を配り、目つきが鋭い。なんかじっくり自己没頭鑑賞モードには入れなかったけれど、卒展はまぁまぁ面白かった。

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まぁまぁ、というのは、はるか昔に見た時と大差ないような気がして。
芸大の卒展を芸大美術館で見たときは楽しかった。あれ、会場がいいよね。トクしてる。なんか、『お祭り〜〜〜!!』って感じがいいのよね。インスタやビデオはほとんど興味がなくて素通りだったんだけれど、疲れてたし、あの「見てよ〜〜立ち止まって私を見てよ〜〜〜」と誘う、ちゃらい音楽がお祭り気分で良かった。あぁ、楽しいなぁって。虚構。

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今一番思い出す作品は、知り合いのは別にして、芸大の紅茶パックのオブジェかな。
インスタやビデオは見ないの。面倒くさいから。立ち止まって観る気力体力余裕がなかったの。だから飛ばす。これもなんかな、と思ったけれど、一枚画はその点ラクなのかな。
紅茶パックは良かった。美しいような、汚いような、思わず手にとって立ち止まって、鼻を近づけて臭いがするかと嗅いでしまった。

あとまぁちょっと気になったのは、工芸科の絵かな。イラストレーションや漫画絵。
印刷物になると違和感ないし、印刷物ほど生活にあふれているイメージがあるだろうか。でも、美術館にあると異質な感じで、そうでなくちゃヤだ。明らかに絵画と異なるものの方が面白かった。
そして漫画絵で、でかさを感じると妙で良かったな。印刷物は小さいからね。

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一番見応えがあったのは、芸大の大学院修復研究科。模写であろうと古典画の方が迫力あるなんて。学生のお遊びも楽しいけれど、何故か虚しくなってしまうのに比べて、模写といえども古典画は充実感を覚えてしまった。不思議といえば不思議。レアじゃないのにね。

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帰りはヨロヨロになりながらバイク。
地図で確認したはずなのに、「地図の読めない女」、一向に頭に入ってないらしい。右折右折と思っていたら、千葉は左にありました。でも帰れたから良かった。

喫茶店で本を読む。図書館でなんとなく借りた本。
「不幸になりたがる人たち 自虐指向と破滅願望」 春日武彦著 文春文庫。
すごい題名だね。(^^;
精神科医の書いた本だが、突き放したような自分の患者の話ではなく、もっと砕けたエッセイのような、読みやすい本。でも、自虐指向と破滅願望……。壮絶な例がありますな。

結構面白かった。ひとつ思ったのは、今、死がないじゃない。身近に。
そうするとやっぱ動物として不自然なのかね。それで無理にでも引き寄せたくなったり、身近に感じたくなって、バッドなニュースに気持ちが釘付けになってしまったり……
……するのかもしれないなぁ、なんて思いました。


はっ。バイクバイク。これも緊張感を得るために必要な道具であったりして。
往復して緊張してくたびれて、コワイ目にいくつかあって、こすっからい奴らと戦った気分になって、生きて無事帰れたことを感謝して、死を身近に感じることで生を引き寄せようとしているんだったりして。わたくし。

by HPY


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